香港政府の陳茂波(Paul Chan)財政長官、黄錦星環境局長、劉怡翔(James Lau)財経事務及庫務局長、羅致光労工及福利局局長の4長官は12月4日、合同で記者会見を行い、逃亡犯条例改正案に始まったデモの影響で落ち込んだ経済の影響を受けている企業を救済するため40億香港ドルを計上した。オフィス、小売店など住宅以外で使われている電力や水道料金の補助がメインとなっている。
香港政府はすで中小企業支援のスキームを出したほか、観光業への支援、公共交通機関への燃料費の補助など総額で約210億香港ドル分の経済対策を施してきた。今回の景気対策はその第4弾となるもので、まず、非住宅用途として使われているオフィス、レストラン、工場などでの水道料金を2020年3月31日までの4カ月間、2万香港ドルを上限に補助するため3億香港ドルを計上した。また、同じく非住宅で使われている建物の電気料金を、水道料金と同じく2020年3月31日までの間、上限を5,000香港ドルとして最大で75%を減額。こちらには23億香港ドルの費用がかかると試算し43万戸が恩恵を受けるとした。
不動産使用税(レーツ)の補助について、第4四半期分は上限が1,500香港ドルから5,000香港ドルに増額され、26万戸がメリット受けるとしている。 2018-19年の法人税、所得税などの納税時期を最大1年間延期させることができるようにもする。旧啓徳空港(Kai Tak)跡に造られたフェリーターミナル内にオフィスを構えるフェリー会社とレストラン、小売店は2019年12月から2020年5月末まで、賃貸料を一定額減額する計画だ。さらには、證券及期貨事務監督委員会(SFC)がトレーダーなどに発行しているライセンスについて2020-21年度はライセンスフィーを免除する。これにより4万7000人の免許保有者が恩恵を受けるという。
雇用対策では、職業訓練所に当たる●員再培訓局(ERB)で学んでいる学生への手当てを4,000香港ドルから5,800香港ドル引き上げるほか、15歳から24歳の若者を対象にした職業訓練や就職斡旋をしている「展翅青見計劃(YETP)」に1,430万香港ドルを投入。600人の若者が対象になるとしている。これらは立法会の経財委員会の審議を得て賛成が得られれば実行される。
陳茂波財政長官は「2020-21年度は財政赤字になるが、香港政府は財政備蓄が多くあり心配はいらない。国際ルール上では赤字幅が域内総生産(GDP)の2-3%に収まっているのでそれほど深刻ではない」と15年ぶりの財政赤字(前回はSARSのために財政赤字に転落)にも心配はないとコメントし「これについては各党派の議員ができるだけ委員会を通過できるような審議を期待している」と付け加えた。
●=人べんに雇。