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香港の世相を表すGoogle検索ランキング  1位は「LIHKG」 、旅行先には「鹿児島」も初

googleが発表した2019年の検索ワードランキング

googleが発表した2019年の検索ワードランキング

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 Google香港は12月11日、2019年の検索ランキングを発表した。総合1位は掲示板の「連登(LIHKG)」だった。2位は「黄心類(Jacqueline Wong Sum-wing)」、3位は「的●傳(The Legend of Hao Lan)」と続いた。

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 「連登(LIHKG)」は日本でいう「2ちゃんねる」のような存在だが、今回の逃亡犯条例改正案に端を発した大規模なデモや運動などで、この掲示板が果たした役割は大きい。2位の「黄心類」は無線電視(TVB)の女優・タレントの名前。彼女が歌手・俳優の許志安(Andy Hui Chi-on)さんとタクシーでキスした写真が流出し、双方とも活動停止に追い込まれた。3位の「的●傳(The Legend of Hao Lan)」は中国でヒットしたドラマで、香港ではTVBで放送された。戦国時代末期で始皇帝の母などの物語。政治的に大荒れの香港であったにもかかわらず、2、3位に芸能関係が入ったところにゴシップ好きな香港らしさが表れている。

 4位に入ったのが「Thanos(英語のみ)」はマーベルコミックスが出版する作品にと登場するサノスのこと。今年公開された映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」に登場したことからランクインした。5位には「教育局(Education Bureau)」がランクインし、デモで学生が中心となって活動したことで、いろいろな角度から同局が関心の的となった。6位は「許志安」は上述の2位と同じ理由である。

 7位の「立場新聞(The Stand News)」は2014年に始まったオンラインのニュースサイト。逃亡犯条例に関して民主派を支持する人たちにとっての必須ニュースメディアの一つになった。8位にランクインしたのが「港鉄(MTR)」。こちらも逃亡犯条例に関連して、駅の破壊の状況や、香港人の足であるため日々の運行状況や終電時刻などを知るために検索した人が多かった。

 9位になったのは「区議会選挙(District Council Election)」。行政長官選の普通選挙を要求しているだけに、区議会選挙は香港市民にとって民意を示す大きな機会だった。選挙結果も民主派が大勝したため、驚きを含めて検索がさらにされたと思われる。10位には「何君堯(Junius Ho Kwan-yiu)」が入った。元朗(Yuen Long)エリアに地場を置く建制派の立法会議員。7月21日に白シャツの群衆がデモ隊を襲ったが、何議員はその白シャツのメンバーと握手している動画が配信され、いろいろな意味で「時の人」となった。トップ10を見ると6項目が逃亡犯条例に関するものと言え、香港が激動の真っただ中にいることが改めて感じ取れる。

 Googleは他にもさまざまな角度から検索結果を発表しており、「ヘッドライン」を飾ったランキングでは1位が「連登(LIHKG)」、2位が「教育局(Education Bureau)」、3位が「港鉄(MTR)」というラインナップになった。ほかにも5位に「逃犯條例(Extradition bill)」、8位に「4000 蚊申請表格(application form for the HK$4,000 handout)」という4,000香港ドル支給に関する申込書についての言葉が入った。

 「香港で話題となった人物別」では、「何君堯(Junius Ho Kwan-yiu)」が、2位にランクインした「林鄭月娥(Carrie Lam Cheng Yuet-ngo)」を抑え1位に。何議員は「キャラが立っている」こともあり行政長官を退けた要因の一つだろう。3位に入ったのが「陳●霖(Chan Yin-lam)」。15歳の彼女が死亡したのが9月19日であることから、わずか数カ月でランクインした。香港人にとって衝撃的な事件であったことがうかがえる。

 「意味を確認するために検索」というカテゴリーでトップになったのは「連儂牆(Lennon Wall)」。香港の民主化運動を支持するメッセージを書いた付箋などをはりつけた壁のことであるが、元々はチェコのプラハにある、ジョン・レノンをしのんで建てられた壁のこと。自由と平和へのジョン・レノンの強いメッセージが込められている。特に香港の若者がレノンウオールの語源を知らないのは世代的に仕方なく、意味を検索するというのは自然なことと言えよう。2位もデモのスローガンである「Be Water」。こちらは香港が生んだ最大のスター、ブルース・リーの言葉だが、彼がなくなったのが46年前。カンフーが好きな人、習っている人を除き、さすがにこの言葉までは知らない人が多く、意味を調べようとした香港人が多かったということが明らかになった。

 香港らしく「旅行の行き先別」で見てみると、トップに立ったのが珠海だった。3位に沖縄、4位に京都、5位に福岡、10位に鹿児島が初めてランクインするなど、日本の4都市がランクインした。京都以外は直行便が多くあることに加え、地上波テレビ番組の大型特番なども組まれたことから、検索して調べる人が多かったと考えられる。

●=金へんに門に東。●=文かんむりにたれにさんづくり。

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