香港市民にとっての心のよりどころの一つとされ、道教の寺「黄大仙祠(Wong Tai Sin Temple)」の名前で知られている「嗇色園黄大仙祠(Sik Sik Yuen Wong Tai Sin Temple)」が新型コロナウイルスの影響で一時閉鎖となっていたが、5月1日、拝観時間を短くするなどして再開した。多くの参観者が「健康」「平和」「平穏」を祈る。
香港の新型肺炎の感染者は落ち着いており、14日間の強制検疫措置について6月7日まで延長すると発表したが、一方で感染者数の増加が落ち着いてきたことから、連休明けの5月4日から公務員の在宅勤務については、ほぼ通常業務に戻すなど、徐々に経済活動が戻りつつある。
この流れを受け黄大仙は5月1日からの再開を決めた。公開時間は従来と同じく朝7時、終了は30分短くして17時までにするほか、「太歳元辰殿(Taisui Yuenchen Hall)」は8時~17時を拝観時間とする。入場者は入口で検温を受けなければいけないほか、マスクの着用を義務付ける。現在、公共の場では5人以上集まってはいけないことになっているため、入場は最大で4人1組となっている。
境内には、膝をつくための赤いクッションが置かれているが、こちらも1メートルの距離を置いて置くなど防疫対策を徹底する。寺で行っている宗教的な活動や行事は継続して停止する。中医が診察し、漢方薬を処方する「中薬局(Herbal Clinic)」は元々改修工事をすることが決まっていたため、3月下旬から営業を停止していた。それと時をほぼ同じくして黄大仙が閉鎖したため実際の工事は7月から行う予定だったが、代わりに境内にある「鳳鳴樓廣場(Fung Ming Hall Plaza)」に臨時の中薬局を設けた。電話予約をしたうえで9時~17時、診療を受けることができる。西洋医学の診療を行う「嗇色園西醫診所」も夜間診療は暫定的に行わない。
線香などを販売する売店の1日当たりの売り上げは平均300~500香港ドルだったが、約1カ月間閉鎖されたため大きな経済的ダメージを受けたという。黄大仙は占いの場所として知られているが、こちらは昨年からの逃亡犯条例改正案の時から中国人観光客が減り、新型肺炎でさらに減ったうえ、閉鎖措置となったため、こちらも経済的損失が大きい。公開後もまだ3分の1が店を閉めたままとなっており、全面回復まではまだ時間がかかるようだ。