香港内にある多くの公共博物館の管轄する康樂及文化事務署(LCSD)は5月16日と17日、香港内にある42カ所の博物館を無料開放している。新型コロナウイルスの影響で公共施設が閉鎖されていたが、4月中旬以降、新規感染者の数が落ち着いたことも幸いした。
香港は新型肺炎対策が功を奏し海外から香港に入った感染者は単発的に発生したものの、香港内での新規感染者は5月13日に発生するまで23日連続でゼロを記録するなど、ある程度落ち着いた状況といえる。
香港政府は4月28日の会見でいくつかの規制の緩和措置を講じることを発表したが、屋外スポーツ施設、図書館、博物館などの公共施設は、式典など多くの人が集まる大規模イベントなどは引き続き禁止となるものの、5月6日から、営業時間の短縮、入場制限、12歳以下の子どもは大人と同伴、一部施設は継続して閉鎖などの制限をする形で再開させるとしていた。東京都が5月15日に発表した新型コロナウイルス関連のロードマップの骨格でもステップ1に博物館や美術館、図書館といった施設の規制緩和を上げており、どの政府においても、このような公共施設の開放がまず行われるというのは妥当な措置と言えそうだ。
この無料開放は、フランスに本部を置く博物館の組織、国際博物館会議(ICOM)が1977年に5月18日を「国際博物館の日」に制定したことから、世界中の博物館で入館料無料や割引のほか、さまざまな企画イベントが開かれており、LCSDもそれに合わせて毎年無料にしているが、多くの香港人に楽しんでもらうべく今年は5月16日、17日の週末に設定した。
具体的にはLCSDが管轄する、「文化博物館(Heritage Museum)」、「科学館(Science Museum)」、「歴史博物館(Museum of History)」、「孫中山紀念館(Dr. Sun Yat-sen Museum)」など18施設を無料開放するほか、LCSDの管轄下ではない香港大学美術博物館(University Museum and Art Gallery, The University of Hong Kong)、医学博物館(Museum of Medical Sciences)、賽馬博物館(Racing Museum)、博物館だけではなくショッピング・グルメとしての観光スポットにもなっている「大館(Tai Kwun)などの民間博物館も国際博物館の趣旨に賛同して入館料を徴収しない。
各博物館でいろいろな企画が計画されているが、例えば、香港大学美術博物館ではハンガリー軍の軍医だったDezső Bozōky(1851年~1957年)が1907年から1909年の香港を撮影したビクトリア港、ピークトラム、街市の様子、まだ弁髪姿の香港人など当時の香港の様子が見える写真展などが楽しめる。