香港政府食物及衞生局(Food and Health Bereau)の陳肇始(Sophia Chan)局長は6月2日、香港居民を対象にした外国からの14日間の強制隔離を9月18日まで延長し、外国人の入境は引き続き無期限の入境禁止とした。中国・台湾・マカオから戻った香港居住者による14日間の強制隔離措置も7月7日まで延長した。9人以上集まってはいけない「限聚令」も6月18日まで延びた。
6月4日現在、累計感染者数は1099人、死亡者は4人、回復者は1041人。5月29日、パキスタンから香港に戻った香港人3人の新規感染者が発生したほか、31日に沙田(Shatin)にある瀝源邨(Lek Yuen Estate)に住む夫婦が感染していたことが判明。同じマンションの住民を検査したところ、さらに4人が感染していることが分かったほか、女性の職場で大手デベロッパー嘉里建設(Kerry Properties)のグループ会社、嘉里貨倉(Kerry Logistics)の同僚2人も感染するなど計9人の新規感染が確認されている。「過去数週間、比較的安定しているが、海外からウイルスが入ってきたほか、今後も散発的な感染例が出現する可能性がある」と陳局長。「依然として警戒を緩めるべきではない」とした。
外国から戻ってきた香港居民に関する入境規定では14日間の強制検疫をしなければならないが、3カ月延長して9月18日までとすることを決めた。非香港居民については3月25日から無期限で入境禁止となっていたが、引き続き継続する。つまり、観光客、ビジネスマンは基本的に香港に入ることができないことになり、香港観光や展示会などは厳しい状況が続く。7月にはブックフェア、8月にはフードエキスポなど、毎年日本からの出張者も多い見本市も予定されている。
一方、中国本土、マカオ、台湾から香港に到着する特定の人に対する強制隔離も14日間の強制隔離を規定しているが、こちらは7月7日まで1カ月間延長となった。
公共の場で9人以上が集まることを禁止する「限聚令」のルールは6月4日が期限だったが、2週間延長して6月18日までとなった。これにより飲食店に課されている5つのルールについても適用されることになり、体力のない店が閉鎖に追い込まれる可能性は続く。
検査体制に余裕が出ていることから、香港政府は5月15日~6月2日、香港国際空港で働く人々1700人を対象に検査キットを配布。検体は7割の戻りがあり、全員が陰性だったとした。5月20日からは老人ホームや障がい者施設などにも3200を超える検査キットを配布。4割の戻りがあり、こちらも全員が陰性だった。さらに5月23日には衛生署が主導してが香港内18区にある中医の診療所にもキットの配布を始めるとするなど、検査体制能力を十分に生かした施策が打ち出されている。