香港政府食物及衞生局の陳肇始(Sophia Chan)局長らは7月22日、新型コロナウイルス感染対策についての追加方策を発表した。外国からの入境を禁止する政策は2020年12月31日まで行う。香港政府は今年の外国人による観光を事実上、断念したことになる。ほかにもマスク着用義務の強化などが組み込まれた。
24日現在、累計感染者数が2373人、死亡者は16人、回復者1379人で、7月24日は過去最高となる123人(うち香港内感染が115人)を記録した。陳局長は「7月8日から21日まで719件の陽性があり約84.1%に当たる605件は海外への渡航履歴がないため香港で感染したと考えられる。香港内でも観戦経路が不明なケースが増えており、大規模な爆発の危険性が非常に高まっている」と香港市民に警戒を促した。
具体的には、外国から香港に入境する事例について、(1)第599C章(若干到港人士強制検疫規例):台湾、マカオ、中国からの入境制限では14日間の強制隔離を受けなければいけない期限が8月7日だったところを9月7日まで延長する。(2)第599E章(外国地区到港人士強制検疫規例):外国から戻ってきた香港居民は14日間の強制検疫を受けなければならない条例で、これまで9月18日までだったが2020年12月31日まで延長するようを変更した。また、これまで隔離12日目に検体を提出する必要があったが2日早めて10日めに検体を提出させる方針を明らかにした。衛生防護中心傳染病處の張竹君主任は「感染者増大を受けて検査に時間がかかっているため」と発言した。開始時期は未定。
マスク着用義務ついては、バスターミナル、バス停などの乗り換えエリアや公共の屋内施設が追加された。期間は7月23日から8月5日までで、違反者には2,000~5,000香港ドルの罰金が課せられる。併せて、地下鉄などの公共交通機関に乗車する場合は既にマスク着用が義務付けられているが、7月28日までから8月5日まで延長した。
公務員の在宅勤務によるサービス制限は7月26日から8月2日まで延長される。鯉魚門公園及度假村(Lei Yue Mun Park and Holiday Village)はこれまで350人が収容できる隔離施設として利用してきたが、公立病院のベッドの7割が埋まり負担が増えてきたため、それを軽減するため症状が軽微な患者30人分を受け入れ始めた。
啓徳(Kai Tak)の富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)は政府が検疫施設として借り上げたが、その後、●湾(Tsuen Wan)にある絲麗酒店(Silka Tsuen Wan)を追加。さらに觀塘(Kwun Tong)にある帝盛酒店(Dorsett Kwun Tong)を3つ目の借り上げホテルとする方針だ。
ハイリスク地域(バングラデシュ、インド、インドネシア、ネパール、パキスタン、フィリピン、南アフリカ)からの入境者は7月25日より、搭乗72時間以内に英語か中国語での陰性結果証明の提出と最低14日間以上のホテル滞在の予約確認の提出が義務付けられた。7月29日からは感染拡大が止まらないアメリカとカザフスタンがハイリスク地域に加わる。
日本人全体の感染者数も増加している中、日本から香港にコロナウイルスが持ち込まれたケースが2例発生した。香港政府衛生署(Health Department)の衛生防護中心(CHP)が発表によると、7月17日の全日本空輸(ANA)の1929便の成田国際空港発の便に搭乗した61歳男性で、感染者番号1789番。7月19日に陽性が確定したが、発病しているかは不明だ。もう一例は同じ7月17日のNH1929便に乗った42歳男性で香港居民で、座席は21Fと発表された。富豪東方酒店で陽性が判明し、無症状だが病院に搬送されている。
日本から香港に感染が持ち込まれる例が増えれば、入境制限のみならず、ハイリスク地域に組み込まれる可能性もある。
●=草かんむりに全。