香港政府は7月30日、店内での飲食を終日禁止することについて、撤回した。31日朝5時から17時59分までは店内での飲食を認める。29日から終日禁止の政策を行っていたが、香港市民からの非難の高まりを受けて2日で撤回となった。
30日現在、累計感染者数が3152人、死亡者は24人、回復者1591人。30日の新規感染者は149人となっている。30日は大角咀(Tai Kok Tsui)の住民が飼っている雑種の猫が新型コロナウイルスに感染していることも明らかになった。ただし、猫自体は新型コロナウイルスに感染した時に表れる症状はないという。
香港政府は7月に入り新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないことから矢継ぎ早に新政策を実施。7月29日から8月4日までの1週間、終日、店内での飲食は禁止という措置にまで踏み込んでいた。
しかし、実施されるとタクシードライバー、バスドライバーなどは車内で食事をしなければならなくなった。また、テークアウトは認められていたとはいえ2020年1月の終わりから続くコロナ禍で経営難に陥っていた飲食のレストラン経営者からも不満が噴出していた。オフィスを持たない建設作業員、清掃員からは炎天下での公園や路上で食事をしなければならず、食事部屋を貸すサービスが商売として生まれたり、教会やバスターミナルなどが食事のためにスペースを開放するという動きもあり、衛生面を考慮すると逆に感染が広まりかねない状況で批難が出ていた。香港政府のスポークスマンは「政策を実施して、実際の状況を見てみると、労働者に不便と困難をもたらしてしまった」として、夜のみ店内での飲食を禁止する以前の方針に戻す形となった。
これによりレストランは、朝5時から17時59分までは、客の店内での飲食を認められ、18時から翌朝4時59分までは認めないこととなった。ただし、同時間帯のテークアウトは可能。座席は1テーブル当たり最大で2人までで、以前の4人から減らされたほか、テーブルの間に仕切りなどの設置を求めた。テーブル間の距離を1.5メートル離すこと、収容人数は総座席数の50%まで、入店時の検温、消毒、食事をする時以外のマスク着用はこれまでと同じだ。
飲食店内でのパフォーマンスやダンス、カラオケとは引き続き禁止される。それに加え、義務ではないが座席の方向をできるだけ同じ方向に向け、対面の状況を作らないように求めた。バーやナイトクラブの一時閉鎖は継続する。有効期間は8月4日までで、変更はない。公務員の在宅勤務は8月9日まで延長されることも決まった。
終日飲食禁止政策は撤回となったが、佐敦(Jordan )にある逸東酒店(Eaton HK)では食事場所を見つける人が困難な人のために、月~金曜の11時~15時と17時から21時までの間、同ホテルの2階にある宴会場を食事スペースとして無料開放する事を決めた。緊急時の香港人の互助精神が垣間見られる。