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高速道路がビルを貫通する香港の隠れ名所が解体へ 九龍湾~油麻地の移動が5分に

ビルを貫通することで知られる高速道路

ビルを貫通することで知られる高速道路

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 路政署(Highways Department)は油麻地(Yau Ma Tei)で建物の内部を通過することで知られている高速道路5号幹線(Route 5)にある立体駐車場「油麻地停車場大廈(Yau Ma Tei Carpark Building)」(250 Shanghai Street, Yau Ma Tei, Hong Kong)を2021年に解体することを明らかにした。同署は11月1日、同駐車場の利用停止を段階的に始め、2021年1月1日に全面封鎖し、同年内に解体する方針。

駐車場のビル内を通過する車

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 5号幹線は九龍東部の牛頭角(Ngau Tau Kok)と新界(New Territories)●灣(Tsuen Wan)西部にある柴湾角(Chai Wan Kok)を結ぶ17.9キロの高速道路で、九龍のど真ん中を通過する大動脈。街なかの交通渋滞を防ぐため高架化されており、同駐車場東側にある加士居道(Gascoigne Road)の上に平行して1.2キロの高架化された道路建設された。加士居道天橋(Gascoigne Road Flyover)と呼ばれており、全11フロアから成る同駐車場の2階~5階部分の中央部を通過している。

 1950年代、香港は既に駐車スペースの問題に悩まされており、当時の香港政庁は立体駐車場の建設を決断し、1957年に完成した。その後、5号幹線を造るに当たり、この駐車場が邪魔になり解体する話が出たが、内部を大改修して高速道路を通過させる決断を下した。騒音問題も解決できることから一石二鳥の案だった。1977年から現在の形になり、自動車770台、オートバイ76台分を収容する。地上階は油麻地公共図書館として使われ、一番上の2フロア分は駐車場ではなくオフィススペースとして造られており、入境事務処(Immigration Department)の西九龍事務処(West Kowloon Office)など政府機関が入居していた。公営駐車場であることから自由に出入りすることが可能で、廟街(Temple Street)の出入り口に位置することから、廟街を上から写す撮影スポットしても知られていた。

 今後、11月1日から6~8階の部分が使えなくなり、12月1日から5階が使用不可に。2021年1月1日には全て封鎖する計画となっている。駐車場がな無くなることを受けて香港政府は、同駐車場の西側にある佐敦道(Jordan Road)と連翔道(Lai Cheung Road)が交差する場所付近に700台分の臨時駐車場を造成する。

 この駐車場の解体理由は、423億6,000万香港ドルを投じ、2017年に着工し2025年に完成予定の新しい高速道路「中九龍幹線(Central Kowloon Route)」が通るため。この道路工事については、西松建設が3億1,700万香港ドルで何文田地区での工事を受注している。中九龍幹線は、現在建設中で将軍澳(Tsueng Kwan O)と西九龍(West Kowloon)を結ぶ6号幹線(Route 6)の1部で、片側3車線、全長4.7キロで、そのうち3.9キロは街なかへの影響を考えて高架ではなくトンネルを造ることになった。このトンネルのルート上に駐車場があるため取り除く必要があったほか、伊利沙伯醫院(Queen Elizabeth Hospital)や一般のマンションなども工事の影響を受けるため、工事内容に応じた何らかの対策を施す。駐車場は解体されるが加士居道天橋は拡張工事を行うため、解体されることはない。

 中九龍幹線が完成すれば九龍湾(Kowloon Bay)から油麻地までの所要時間は25分から一気に5分に短縮される見込みだ。

 ●=草かんむりに全。

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