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香港の飲茶老舗、「蓮香楼」に名前を戻し復活 厳しい経営環境続けば1年後閉店の可能性も

再び「蓮香楼」の名前が中環に

再び「蓮香楼」の名前が中環に

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 中環(Central)にある飲茶の老舗「蓮香楼(Lin Heung Tea House)」(160-164 Wellington Street, Central, Hong Kong TEL 2544 4556)が3月11日、復活した。閉店報道、再営業による店名の変更など紆余(うよ)曲折があったレストランだが、「蓮香楼」という名前の再来は香港好きの日本人にとって大きな注目を集める。

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 蓮香楼は1889年、広州市西部に中華のお菓子を売る「連香楼」として開業し、その後、現在の名前に改名した。香港には1918年に進出したが、1949年に中華人民共和国の成立によって香港の店は資本として独立をせざるを得なかった。その後、香港でありがちな相続を巡るお家騒動も発生したが、今でもワゴンスタイルで飲茶を楽しめる数少ないレストランとして知られる。2018年には蓮香楼が入っているビルの開発計画が持ち上がり閉店すると思われたが、従業員の老?記さんらがオーナーである顔ファミリーから商標などを除き、店を運営するライセンスを取得。2019年3月1日、名前を「蓮香茶室」と変えて再出発した。

 しかし、逃亡犯条例改正案によるデモと新型肺炎による消費マインドの後退で経営が悪化し休業する方向で進んでいた。そのため顔一族の4代目の顏漢彬さんが中心となってオーナーである資本策略社と話し合い1年契約を結ぶことに成功し、名前も「蓮香楼」に戻して再開することになった。

 2月の家賃は免除されるが、難局を乗り切るため、無給休暇を従業員に求めたほか、夜の営業は行わない。新型肺炎が終息しない、または終息がずれ込むなど厳しい経営環境が続けば1年後の契約満了時、またはその前にレストランが閉店する可能性はゼロではなく、復活を手放しで喜べる状況ではない。

 香港島南部の黄竹坑(Wong Chuk Hang)にある水上レストランの「珍寶王國(Jumbo Kingdom)」は現在、営業停止という扱いになっているが、その後も再開のめどは立たず、事実上の閉店への動きが加速している状況だ。

 閉店の鍵となるのは、レストランがある深灣に作られた公園。ここはサンパンが停泊するふ頭やジャンボレストランに向かう時の入り口で、地元住民の憩いの場になっている。運営する新濠國際發展(Melco International Development)と香港政府との間では、公園は原状回復工事を行って政府に戻す契約になっているため、公園だけ元に戻すというのは不自然であり、それは水上レストラン本体も解体をしなければならないことを意味する。

 一部からは歴史的建造物にしてはどうかという意見も流れたが、発展局(Development Bureau)によると、建物を評価する古物諮詢委員会(Antiquities Advisory Board)は1970年以降に建設されたものは評価しないことを2018年に議決しており1976年に再建されたジャンボは歴史的建造物の評価の対象にならない。

 新濠國際發展はMPFの事務的手続きを終わらせており、従業員の解雇するためのプロセスも終了。営業再開のめどは立っておらず、営業停止が永遠に続く方向で進んでいる。

 蓮香楼の営業時間は6時~17時。

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