香港政府康楽及文化事務署(LSCD)は4月18日、香港市内ある公園62カ所についてペットでの入園を認めると発表した。これにより合計で103カ所の公園で飼い主とペットが一緒に遊べるようになる。
香港は基本的に狭い家が多いため、旺角(Mong Kok)の通菜街(Tung Choi Street)にある金魚街に代表されるように、ペットというよりは飼育するにも場所を大きくとらない熱帯魚を飼うのが一般的だった。香港の生活レベルも年を追うごとに向上していく中、犬・猫といったペットを飼おうとする人も増えてきた。
一方、長い間ペットを飼う習慣がなかったこともあり、ペットの入園を認める公園はなかった。特に犬は、その習性と小さな家に住むというストレスの観点からも毎日散歩に出かけたほうがいいが、散歩をしても大半の公園に入ることができなかった。
香港政府は2019年1月1日よりペットの入園を認める「寵物共享公園(Parks for Pets)」と呼ぶ計画を策定。まずは6カ所の公園でテストを行った。さらに2021年に入ると、2月6 日に32カ所、2月10日に3カ所を加え計41カ所の公園が入園可能となっていた。その後も、ペットと公園利用者の間に大きなトラブルもないことから、ペットが入ることができる公園の拡大を決断した。
香港は全18区あるが、今回認められたのは東区(Eastern District)を除く17区。62カ所のうち約20カ所は香港政府が整備に力をいれているビクトリアハーバー沿いにあるプロムナードとその近くにある公園だ。ほかにも旧啓徳空港(Kai Tak Airport)の滑走路に建設した遊歩道「啓徳空中花園(Sky Garden)」もペットが入ることができるようになった。それに加え、西営盤(Sai Ying Pun)にある中山紀念公園(Sun Yat Sen Memorial Park)や香港で一番知られている公園の1つである銅鑼湾(Causeway Bay)の維多利亞公園(Victoria Park)にはペット専用エリアを増設し、そこでペットと一緒に過ごすことができるようになった。
飼い主は、ロープやひもで動物を管理できる状況にあること、ほかのペットに危害を与えないように管理すること、排泄物を処理すること、公園の衛生状態を清潔に保つことなどが求められる。飼い主がけんかを止めないなど合理的な措置を講じない場合は1万香港ドルの罰金、排せつ物を処理しない飼い主には5,000香港ドルの罰金刑が科せられる。
近年は香港においても、ペットを保護する団体が増加しているほか、2022年1月には、ペットショップにいたハムスターから新型コロナウイルスが検出されたことを受けた結果、ほかのペットショップのハムスターを含め約2000匹が処分された。不法にハムスターを捨てる香港市民も一部にいたが、多くの市民は政府の対応は過剰反応であると声を上げるなど、動物への理解とペットとの共生ができつつある社会になりつつある。