暮らす・働く

香港政府、強制隔離を3日に短縮へ 残り4日は健康観察期間で外出も可能に

ホテルの隔離が3日に短縮され、まだ隔離がありながらも緩和にむけて動く香港

ホテルの隔離が3日に短縮され、まだ隔離がありながらも緩和にむけて動く香港

  • 52

  •  

 香港政府の李家超(John Lee)行政長官は8月8日、海外から香港の入境者への防疫対策として定めていた1週間の政府指定ホテルでの隔離を8月12日より3日に短縮すると発表した。残り4日間は「医学的健康観察期間」に切り替える。日本を含めた海外ではすでに隔離なしが基本となっていることから、大幅にビジネスマンや観光客の拡大は望めない。しかし、3日であれば行きやすくなったことは間違いなく、観光業界や小売業界には明るい話題となっている。

[広告]

 香港は9日現在、検査による陽性反応を示した人は36万1433人、最終確定した累計感染者は138万9282人、死亡者は9547人となっている。新規感染者は4040人、うち206人は海外からの輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が677万6377人(93.1%)、2回目を終えた人は653万618人(89.7%)、3回目も終えた人は466万1693人(68.3%)となっている。4回目の接種回数は22万9074回だ。

 香港政府は、中国本土がゼロコロナ政策を維持し、当面の間、変更される気配がないことから中国との往来を考慮しながらも海外とのつながりを重視してウィズコロナにシフトしてきたと言える。さらなる緩和が各業界から求められていたが当初は「5+2」が想定されていた。しかし、旅行業界などは「3日の隔離であれば、香港人も許容範囲で海外旅行に多く行き始める」などとして「3+4」とするロビー活動を展開。それが実った形といえる。

 これまでは潜伏期間などを考慮して14日間を1クールとして防疫対策を行ってきたが、オミクロン株の特性を考慮して1クールを10日に短縮した。厳密に言えば入境者は「3+4+3」の防疫対策をしなければならない。加えてこれまでは香港到着日を1日目としていたが、到着日は0日とし翌日から1日目と計算方法を変更した。PCR検査は香港国際空港の到着した0日目、2、4、6、9日目に行う。抗原検査キットは入境者全員に配布し、10日間毎日検査を行う必要がある。陽性であれば政府に報告しなければならない。

 最初の3日間は、これまで通り、政府指定ホテルでの強制隔離となる。ホテル滞在2日目に行われるPCR検査と抗原検査が陰性であれば、3日目の午前中にスマートフォンにホテル隔離終了の通知が届き、午後にはチェックアウトが可能となる。

 その後は自宅または観光客やビジネスマンなどは別のホテルに移動し、4日間の「医学的健康管理期間」に移行する。その間、抗原検査ほか4日目と6日目に香港各地にある社區檢測中心(Community Testing Centre)に赴いてPCR検査を受けなければならない。

 医学的健康観察期間中は、外出可能だが訪れることのできる場所は制限される。そのカギとなるのが、実名制となった安心出行(LeaveHomeSafe)。従来、表示されるQRコードは青一色だったが、今後は赤、黄、青の3種類で表示。赤色は新型コロナ陽性者が入院後、自宅隔離に切り替わった人などが対象で、外出禁止であるほか、レストランを含めた各施設への入場も禁止だ。黄色は、今回のように海外からの入境した人で、隔離中と医学的健康観察期間の合計7日間は黄色で表示。黄色の間は、レストラン、バー、ホテル、ゲームセンター、サウナ、フィットネスクラブ、カラオケ、美容室、パーティールーム、老人ホーム、指定病院などに入ることはできない。

 一方で制限されないのは、通勤、通学、公共交通機関、ショッピングモール、デパート、街市など。つまり、医学的健康観察期間中は、職場や学校と家の往復が基本で、帰宅途中にモールによってショッピングや食材の買い出しをすることは認められるが、友人や家族との外食はできない。なお、リストバンドを装着する必要があるのではないかと言われていたが、期間中に外出を認めた上での運用は事実上不可能であるから、着用は求めない考えだ。既にホテルで7日間の強制隔離をしている人は隔離期間が短縮され、残りの宿泊代は返金される。

 7日目から10日目の3日間は「自主健康観察期間」に切り替わる。7日目の朝9時になると安心出行の黄色表示はアクセスが自由となる青色に自動的に切り替わり、レストランなどへに入ることは可能となる。ただ、10日目までの残りの日は、全て抗原検査を継続してしなければならないほか、9日目にも社區檢測中心などでPCR検査を受ける必要がある。そして10日目に晴れて防疫措置から開放される。

 政府は最近の陽性者のデータを見ると、3日目以降に陽性者が発見される確率は1000人当たり8人、0.8%であることから、今回の対策を講じれば感染拡大を防ぐことができるとしている。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース