香港政府は9月8日、ワクチン接種を基本とした新型コロナウイルス対策「疫苗通行證(Vaccine pass)/ワクチンパス」の対象年齢を5歳~11歳にまで引き下げると発表した。9月30日から実施する。11月30日までに2回の接種が求められるが、それができなかった場合は、多くの施設が利用できなくなる。
香港は11日現在、検査による陽性反応を示した人は164万2941人、最終確定した累計感染者は39万9007人、死亡者は9788人となっている。新規感染者は9787人、うち162人は海外からの輸入症例。一方、ワクチン接種者については、1回目が683万5720人(93.7%)、2回目を終えた人は663万1828人(91.1%)、3回目も終えた人は512万811人(74.4%)、4回目が37万5642回となっている。
香港政府は2月21日に3段階に分けてワクチンパス政策を推進することを発表。ワクチンを打たなければレストランなどに入ることができないため、事実上のワクチン接種義務化政策だった。
これまで対象は12歳以上で、第1弾は2月24日~4月29日、第2弾が4月30日~5月30日に実施された。第3段階は5月31日以降と、3段階に分けて実施してきた。香港政府によると、現在の第5波において、重症の子どもが少なからず出ていること、3歳~11歳の患者では6人が死亡しているが、いずれもワクチン未接種だったことから5歳~11歳の子どもにまで対象を広げることにした。
9月9日現在、3歳~11歳の1回目のワクチン接種率は81.65%、2回目は67.59%、3回目は14.74%となっており、ワクチン接種を進めることでさらに接種率を高めたい考えだ。対象年齢を、データを取っている3歳ではなく5歳以上としたのは、香港政府が採用しているワクチンの一つである、米ファイザー/独ビオンテックの「復必泰(Comirnaty)」は5歳から接種可能としているため。
今回、2段階に分けて実施する。9月30日~11月29日に1回目を接種しなければならない。既に3カ月以上前に1回目を接種している児童は2回目を受けなければならない。11月30日以降は全て、2回以上の接種が求められる。
施設に入場する際、成人の場合は「安心出行(LeaveHomeSafe)」を使う人が多いが、児童がスマートフォンを持っていない場合も少なくない。そこで、接種した後に受け取るQRコード付きの接種証明を持ち歩くか、親が子どもの接種証明を撮影してスマホ内に保存するすることも認める予定。香港政府が開発したアプリ「醫健通(eHealth)」をダウンロードしている場合、親は家族構成員として子どもを追加することができる。醫健通は安心出行とほぼ同じQRコードの機能が搭載されているため、こちらを活用することも可能。さらに、親の安心出行内に子どもの情報を登録できるように拡張させる考え。
施設に入場する際に入り口に張り出されたQRコードを読み取った後、各自のQRコードのスキャンが必要とされるのは、レストラン・バー、ゲームセンター、浴室、フィットネスセンター、屋内の娯楽場所、パーティールーム、美容院、クラブハウス、ナイトクラブ、カラオケ、麻雀、マッサージ、屋外の体育施設、スイミングプール、クルーズ船、屋内イベント会場、理髪店、宗教施設。一方、ショッピングモール、デパート、街市、スーパーマーケットでは出入り口に設置されている機械にQRコードをかざすことのみ要求される。
対象年齢の子どもを持つ親は、今後ワクチンを接種していないと、レストランで家族一緒に食事ができなかったり、イベント会場に連れて行って子どもを楽しませたり、ヘアサロンで髪を切ることができなくなったりするため、影響は少なくないと見られている。