香港の薄扶林にある「薄鳧林牧場」が再生プロジェクトを終え、3月24日にグランドオープンした。これに合わせ、敷地内にイタリア料理店「PizzaExpress Pizzeria Pokfulam Farm Outlet」(141A Pok Fu Lam Road, Pok Fu Lam TEL3164 1388)もオープンした。
「PizzaExpress」は屋外にも2つのテーブルを設け、建物を見ながら食事も
薄鳧林牧場は2015年、政府の再生プロジェクトに選ばれ、昨年春に完成し開放していたものの、コロナ禍の影響もあり正式なオープンを先延ばししてきた。同施設はポクフラム貯水池や現存する香港最古の村の一つでもあるといわれる「薄扶林村」に隣接し、歴史的建造物が多数ある環境。今後は展示、ワークショップ、ガイドツアー、さまざまな芸術・文化活動を通じて酪農家の歴史と周辺地域とのつながりを紹介し、生命の多様性と自然環境への興味を促し、地域のサステナブルライフスタイルに注目して、文化遺産と文化の創造を目指すプロジェクトとして継続するという。
同牧場跡は、香港のスーパーやコンビニで必ず目にする乳製品メーカー「Dairy Fram(牛?公司)」の牧場として、1886年にスコットランドの医師パトリックマンソン(PatrickManson)や香港のビジネスマンによって設立された。香港の気候と立地で牧場に適した薄扶林に牧場と寄宿舎を造り、イギリスから輸入した80頭の牛を飼育して新鮮な牛乳を生産していたという。
小高い丘のような場所に位置する建物のうち、1887年に建てられた旧酪農場職員宿舎が前身で、本館、使用人宿舎、ガレージで構成する135年の歴史を誇るイギリス式の建築物。このうち、高級職員宿舍「寶馬」(Braemar)と呼ばれる建物は、一級歴史建築にリスト化されており、茶色い屋根と白い壁が特徴で、水色の窓枠が白に映える。建物の下の部分には壁に丸くくりぬいた箇所がいくつもあり、これは室内外の空気を換気したり、湿気防止の役目を果たしていた。すぐ近くには二級歴史建築で、空から見ると八角形に見える建物もあるが、これもかつての牛舎で牛の搾乳などもしていたという。
薄鳧林牧場にオープンしたPizzaExpressは、香港内に21店舗を出店。新店は屋内外にダイニングエリアを設け、「イタリアンビストロ」をコンセプトにした小皿メニューを充実させた。トマトとバジルペーストのマッシュルーム「Cremini Mushroom with Tomino & Basil Pesto」(78香港ドル)、エビのガーリック焼き「Baked Garlic Prawn with Olive & Cherry Tomato」(88香港ドル)、かぼちゃの花のフリット「Stuffed Pumpkin Blossoms served with Spicy Bomba Sauce」(82香港ドル)などをそろえる。北京ダックのピザ「Peking Duck Pizza」(168香港ドル)やミートソースのラザニア「Lasagna Classica」(146香港ドル)など、シグネチャーピザやメイン料理も用意。メニューに合わせて、赤、白、ロゼ、シャンパン、スパークリングワイン、ウイスキー、スピリッツ、カクテルからノンアルコールドリンクまで、60種類以上のドリンクもそろえる。今後は、子どものピザ作りパーティーも開く予定。同ファームとのコラボレーションにより、サステナブルなライフスタイルを体験できるワークショップなども企画してくという。
薄鳧林牧場の開放時間は10時~18時。水曜定休。PizzaExpressの営業時間は11時30分~21時15分。