香港で2021年に開業し、ベンガル地方のストリートフードを提供する「BENGAL BROTHERS」(Shop D G/F, Man Hee Mansion, 6 Johnston Road, Wanchai TEL9245 8774)が9月1日、莊士敦道(Johnston Road)で復活した。
同店を経営するヴィドゥール・ヤダヴさんとタンヴィール・バシンさん
再オープンに当たり、屋台料理のメニューを大幅に拡充。チャート、カレーなど、シェアして楽しめるメニューばかりを集めた。
ベンガル地方は本来、インドの西側とバングラディッシュの辺りを指す。同店はヒンディー語で「その日の気分に合わせ、品質やコスパ重視」を意味する言葉「DAAM」を掲げ、薄パンで具を巻いた「カティロール」など、持ち帰りをメインに展開してきた。灣仔をフラッグシップとし、ケネディ・タウンとジャーディン・ハウスのベースホールに店舗を構える。
香港を拠点とするスタジオ「Brash Atelier」がデザインした内装は、レトロなブースやスツールを備え、植民地時代以降のインドのカラフルな食堂やコーヒーハウスにインスパイアされたという。
同店では、ベンガルを越えてインド南部の酒場「トッド・ショップ」で出てくるようなビーフ・フライ、インド東部のコルカタのビートルートで作ったコロッケ、西側ムンバイのカレー「キーマ・パヴ」、デリーの人気のストリートスナック「チャート」などを提供する。
インドでは、朝食、おやつ、軽食、スナックなど屋台で提供するストリートスナックを総称して「チャート」と呼ぶが、同店の目玉はチャートの一つ「プリンスパプリチャート」(88香港ドル)。サクサクのクラッカーにスパイスを利かせたポテト、ヨーグルトと自家製チャツネをかけ、ザクロ、トマトのみじん切り、エシャロットをちらした。南インドのチェティナード地方スタイルの「ラムカレー」(178香港ドル)は、シナモン、ココナツ、カレーリーフ、ターメリック、ブラックペッパーコーンなどで「芳醇(ほうじゅん)な味に仕上げた」という。「南インドが海外やほかの国内の街との結びつきが強く、さまざまな食材が行き交い、料理法もミックスされたことから生まれた味わい」とも。
ベジタリアン向けには、「ジャックフルーツ・ダム・ビリヤニ」(198香港ドル)を用意。マリネしたパラミツ(ジャックフルーツ)の塊に、サフラン、カルダモン、スターアニスを利かせた細長い米「バスマティライス」を重ね、ベリー類や新鮮なハーブと一緒に密閉鍋でじっくり煮込む。
看板メニューの「カティロール」は、創業当時と変わらずイートインでもテイクアウトでも注文できる。種類は4種類で、「チキン・ティッカ」(88香港ドル)、「ラム・シーク」(118香港ドル)、炭火で焼くチーズを挟んだ「アチャリ・パニール」(88香港ドル)、ひよこ豆を主要食材として作る豆とカレー「チックピーマサラ」(78香港ドル)などの具材を、ピリッとしたチャツネ、オニオン、レモン汁で味付けし、薄焼きパラタ・フラットブレッドで包む。卵も15香港ドルで追加できる。
ドリンク類は「新しいプログラム」でデザインした。カクテルは、ウオッカまたはラム、サトウキビジュース、ライム、ジンジャービール、ミントで作る「Sugarcane Smash」、ムンバイに多くあるイランスタイルの「イラニカフェ」で人気のあるドリンクから考案したジン、ラズベリー・ローズ・シュラブ、ソーダで作る「Pallonji’s Fizz」のほか、ビールやノンアルコール類もそろえる。
同店を経営するヴィドゥールさんは「新しいベンガル・ブラザーズは、香港では今までになかった形でインドを伝える。インドは宗教、言語、料理が異なる多様な国だが、食堂は人々がこうした壁を忘れ、ただ集まっておいしいものを食べ、楽しむ環境がある」という。「私たちの願いは、ベンガル・ブラザーズが香港の人々に同じ効果をもたらすこと」と話す。
営業時間は11時~22時。ディナー(17時30分~)のみ予約可能。