房屋局(Housing Bureau)の何永賢(Winnie Ho)局長が12月21日、虹色のようなカラフルな外観からインスタ映えスポットとして有名な公営住宅「彩虹邨(Choi Hung Estate)」について、「全てのプロジェクトが完了するまでに15年かかる」ことを明らかにした。彩虹邨の個性といえる虹色のデザインについては、「7色を取り入れることを期待している」と前向きに検討していることも明らかにした。
彩虹邨は1962年~1964年の間に完成し、7~20階建ての建物11棟が建設された。現在、7455戸、約1万7500人が住んでいる。築60年超えのため老朽化がすさまじいことから、香港政府は再開発を決めた。
公営住宅の名前にある通り、外観が虹色で、3フロアある同住宅の駐車場の屋上がバスケットコートや公園になっている。写真撮影するにも高さが適度で、道路を走る車の邪魔にもならないことから「インスタ映え」スポットとして高い人気を誇る撮影ポイントとなっている。
再建後は現在より約25%増の9200戸に増えるが、最大の課題は1万7500人という大量の住民を、完成までにどのように一時的な住宅を確保するかだ。建物11棟を一気に破壊して再開発を進めるにはいかず、3回に分けて引っ越しを行う。そして、一時的な引っ越し先から再び彩虹邨に戻るまでに平均して10年位で、全住民が再び住み始めるには約15年かかると試算した。既に定年を迎えている住民に対しては1戸当たり2,000~3,000香港ドルの移転費用を補助する計画。
一時的な転居先は、黄大仙(Wong Tai Sin)にある美東邨となる。その中で2027年~2028年に工事完了予定の建て替え工事中物件である美東樓(2860戸)と宏照道(Wang Chiu Road)沿いに建設中で新しい公営住宅の第2期分(1460戸)を使う。特に彩虹邨の南部にある宏照道の新団地については2025年~2026年に完成予定だが、彩虹邨に比較的近いことから、同団地の住民が希望すれば優先して購入できる権利が与えられる。一方、新団地は交通の便が少々悪いことから、購入者がどの程度になるのかは不明な状況。
現在の香港の地下鉄駅には、大きなショッピングモールが併設されていることが多いが、彩虹邨は宅地開発が早かったため大規模ショッピングモールはない。住民は隣の鑽石山駅(Diamond Hills Station)にある「荷里活広場(Hollywood Plaza)」に向かうことが多かったため、「再建後はショッピングモールが建設されることを期待している住民が多い」としている。
最も注目を集めるのは、再建後の外観の色。何局長は「旧正月後、デザインチームが現地を視察し、いろいろな人から意見を集め、住民と協議をしながら進めたい。7色にする案がその中の一つに挙がることを信じている」と、現時点で外壁の色が決まっていないものの、「再び虹色にしたい思い」がにじみ出る。