日本から輸入した魚や貝類を扱う鮮魚専門店「Uoya ZEN」(108 Wellington St., Central, Hong Kong、TEL 2423 2008)が現在、日本産ホタテのフェア「帆立貝FAIR」を開催している。
昨年オープンした同店は、香港で本マグロを中心に水産物を扱う食品卸「ゼンフーズグループ」が展開する小売業態で、朝日本を出た魚は夕方には香港のすし店に届き、当日のディナー時間帯に提供できるスキームを一般消費者向けの小売りでも展開し、「コストパフォーマンスの良さ」から徐々に認知も広がり、注文数も増えているという。
同店では定期的にマグロ解体ショーなどのイベントを開催したりしているが、現在香港の景気もあまり良いとは言えない状況の中、各店とも自分たちから企画する取り組みなどが盛んになっている。
ホタテの輸出に関しては香港も最有力市場として展開されてきたが、香港市場への輸出については昨年8月から続く10都県からの海産物が禁止されている。中国本土の全面禁輸とは異なるが、このような厳しい状況の中、規制はある中でもまだ香港へは輸出もできることから日本でも余剰が叫ばれる「ホタテ」に焦点を当て、北海道産ホタテを多く仕入れてポップアップ展開を図った。入り口に「帆立貝小屋」と書いたのれんやのぼりを立て、窓や床にもホタテのビジュアルを装飾。ショーケース内にはホタテの刺身(52香港ドル)のほか、すし、炙(あぶ)りすし(52香港ドル)、ホタテ丼(72香港ドル)などを並べる。
ヒルサイドエスカレーター沿いにあることから多くの観光客なども店を訪れることも考慮し、当初から儲けていたイートインスペースを拡大。立食ながら、ランチタイムには小皿や汁物などをセットにしたランチセットも投入した。中環で働くビジネスマンなどにもクイックランチを食べることができる場所として定着しつつある。
いったん来店数が落ち着く夕方の時間帯を狙って何かできないかを考え、「ホタテハッピーアワー」を企画。もともと中環地区のバーなどでは、夕方ごろから1杯オーダーをすると1杯が無料になったり、通常料金より安い設定でアルコール類がオーダーできたりする「ハッピーアワー」が浸透している。そこで、「ホタテハッピーアワー」と名付け、15時~19時の利用で店内で何らかのアルコールメニューを注文した客にホタテを無料で提供する。
同店を率いる日高勝利さんは「当店を利用するお客さまはアルプス処理水のことなど全く気にしておらず、例えばマグロの解体ショーの日を狙って来店したり、盛り合わせの予約を入れてくれたりする。最近は1人用のすしの盛り合わせだけでなく、手巻きずしのセットや刺身の盛り合わせなどの注文も増えてきた。中環に集中的に告知なども投下することで、リピーターも増えてきている」と手応えを話し、「オープンから約1年がたつが、フェアを通じて新たな顧客を獲得していければ」と意気込む。
ホタテフェアは2月29日まで。