香港内に1000店舗以上を展開するセブン-イレブンが4月9日、自社のおにぎりラインアップを刷新し、新しく4商品を投入した。
おにぎりのプロモーションでも日本からバスを持ち込み、「日本」を全面に打ち出した
香港では、独立系の「華御結」ブランドが香港内でおにぎり専門店として100店舗を達成し、テイクアウトすしを展開してきた美心飲食グループ傘下の「魚尚」も一昨年前ごろから、おにぎりも前面に打ち出すラインに戦略を変化させ、最近では「わさびのり」を新商品として提案。「華御結」よりも安めの価格帯で勝負を仕掛けている。ここに「華御結」と比べても価格帯を抑え、セブン-イレブンとして改めて市場に大きく勝負に乗り出した。
おにぎりの種類はどれも香港人が好むものを開発し、同価格(1個17香港ドル、2個29香港ドル)で販売する。「北海道醤油(しょうゆ)漬けいくらおにぎり」は、イクラの甘みを引き出すためにしょうゆ漬けにしている。
牛肉のおにぎり「日本産流心蛋黄壽喜燒牛肉」は、柔らかい牛肉を甘めのすき焼きのタレで煮込んだ。日本の卵の黄身は他の外国産と比べて「色鮮やかな印象が強い」が、ここにタマネギも使って「味わいを深め、かみ応えもあるようにした」という。ほかに、滑らかでクリーミーな紅ズワイガニがにペーストを使った「紅雪蟹膏飯●」や脂ののったサケのかば焼きを使い、米もカツオのだしで炊き上げたしょうゆ飯に桜エビを加えた「蒲燒三文魚櫻花蝦醤油飯」の4種類を展開する。
これは、日本のセブン-イレブンチームと共同で丸一年をかけて研究・開発を行ったもの。日本や世界各地から食材を取り寄せ、「特上おむすび」の意味を込めて「極上系列」と名付け、4つの新しいフレーバーを開発した。新パッケージにはゴールドと和のラインを配し、「高級感を出した」という。
これらのおにぎりに使う米は、「粒がはっきりとしていてコクがある米」として、特Aの山形県産はえぬき米を採用。日本のおにぎりのレシピに最も近付けたいと、米の選別から、洗米、浸漬(しんし)、炊飯に至るまで、炊飯技術で「米の食感をグレードアップさせる」研究開発に取り組み、「米粒が、より甘く香ばしく、ふっくらと丸みを帯びるようにした」という。
これまで香港のコンビニなどでは冷蔵庫の温度管理が日本より低いことからも、おにぎりを冷やすことで冷たく固くなってしまうことも日本のおにぎりとの違いが出てしまう要素だったが、冷蔵後もふっくらとした食感を保つため、「レシピにも特別な要素を加えた」という。
のりも、本来の風味を損なわないよう一定の温度で保存し、日本の規格に基づき、厳しい管理の下で製造したという。今回のリニューアルにより、これまでの通常ラインである「特上飯●系列」シリーズ(1個15.5香港ドル)も、白米とのりを同じものを使ってリニューアルを図った。
今回の採用に当たり、プロモーションにも「日本」を前面に押し出す。香港のバスはもともとイギリス仕様の2階建てのバスが一般的だが、今回は日本で引退した路線バスを香港で走らせ、おにぎりのクッションなどを置いて宣伝のツールとして活用している。14日までの5日間、銅鑼湾、尖沙咀、旺角、觀塘などさまざまな繁華街を巡り、SNSなどへの「いいね」を条件に、指定の時間におむすびを無料配布し、多くの市民が列をつくる光景も見られた。
●=米へんに團。