香港のアカデミー賞に当たる「第37回金像奨(香港フィルムアワード)」が4月15日、香港文化中心(Cultural Centre)で行われ、最優秀作品賞に許鞍華(アン・ホイ)監督の「明月幾時有 / Our Time Will Come」が輝いた。最優秀映画音楽スコア賞には作品賞を受賞した「明月幾時有 / Our Time Will Come」の音楽を担当した久石譲さんが選らばれた。
香港では毎年3月下旬から4月中ごろ過ぎまでの約1カ月間、「香港国際映画祭」「香港国際フィルマート」など香港影視娯楽博覧(エンターテインメント・エキスポ)が開催されている。この金像奨は大トリともいえるイベントだ。
久石さんは香港でもジブリ映画の音楽を数多く手掛けていることで知られている。10年前の第27回の金像奨でも同じ賞を獲得しており今回で2度目となった。久石さんは授賞式を欠席したものの、昨年は波多野裕介さんが受賞しているため、日本人が2連覇した形となった。
最優秀作品賞にノミネートされたのは「拆彈專家 / Shock Wave」「明月幾時有 / Our Time Will Come」「相愛相親 / Love Education」「追龍 / Chasing The Dragon」「殺破狼口貪狼 / Paradox」の5作品。受賞した「明月幾時有 / Our Time Will Come」は1940年代に日本軍に対抗するために共産党が組織した廣東人民抗日游撃隊東江縱隊についての実話に基づくストーリーで、日本からは長瀬正敏さん、森田涼花さんが出演している。同作品の許監督は最優秀監督賞にも輝いた。
主演男優賞は「殺破狼口貪狼 / Paradox」の古天楽(ルイス・クー)さん。これまでに幾多の映画に主演してきたが、デビューして25年目にして初受賞となった。今年の主演男優賞のプレゼンターにはボリウッドの大スター、アーミル・カーンさんが登場し、会場は大きな拍手に包まれた。主演女優賞は「黄金花 / Tomorrow Is Another Day」の毛舜●(テレサ・モウ)さんが初受賞。自閉症の息子の世話で大変な上に、その息子の世話に疲れた夫が不倫をしてしまい苦悩する姿を演じた。長年女優として第一線で活躍し2006年には「早熟 / 2 Young」で助演女優賞を受賞しているほか、テレビ番組の司会者もこなすなどマルチな才能を誇る。
最優秀助演男優賞は、長年バイプレーヤーとして多くの作品に出演してきた姜皓文(フィリップ・キョン)さんが「拆彈專家 / Shock Wave」で戴冠した。助演男優賞では倉田保昭さんが「空手道 / The Empty Hands」と「蕩寇風雲 / God Of War」の2作品でノミネートされていたが残念ながら受賞を逃した。最優秀助演女優賞は「明月幾時有 / Our Time Will Come」の葉德嫻(ディニー・イップ)さんに輝いた。
最優秀新人賞は「黄金花 / Tomorrow Is Another Day」で自閉症の患者を演じた凌文龍さんで、同時に最優秀主演男優賞にもノミネートされており、今回で一気に俳優としての知名度を上げると同時に、演技力があることも示した。
●=竹かんむりに均