世界最大の事業用不動産サービスと投資企業の一つであるアメリカのCBREが4月12日、世界35都市の個人住宅市場についてのリポートを発表し、香港の平均住宅価格は約963万香港ドル(約1億3,800万円)で世界一住宅の高い都市であることが分かった。ベッド1つが何とか入る3~4畳の部屋のみという住宅もある中、平均価格が「億ション」という状況は、香港市民にとって住宅の購入が高いハードルであることが改めて浮き彫りになった。
リポートによると、香港は1平方フィートあたり1万6,300香港ドル(約23万2,000円)で、平均面積は591平方フィート。ここから963万香港ドルという数字が割り出された。価格の伸び率は前年比で5.5%増だった。1997年と比べると価格は2倍になったとしている。2018年の個人住宅の供給量は1万7790戸で、740万人という香港の人口とすでに住宅を持っている人ことを勘案しても需要過多の状況は変わっていないとした。
賃貸住宅の平均価格は2万1800香港ドル(約31万1,000円)と平均が2万ドルを超え、高級住宅の物件でも5,360万香港ドル(約7億6,500万円)で上海の1,897万香港ドル(約2億7,100万円)の2.8倍という結果となった。上海でいえば高級住宅を約3軒購入できる計算となり、CBREは「地球上でもっとも不動産を取得するのが難しい市場」としている。
香港理工大学(The Hong Kong Polytechnic University)建築及房地産学部の智文也教授は「空き屋が一定期間あると課税される『空置税』が推進された場合、価格の上昇率は抑えられるが、年末までに5~10%は価格上昇になるだろう」と推測している。
2位はシンガポールで同1.1%増の682万香港ドル(9,740万円)だ。香港はシンガポールに4割以上高い価格ということになる。3位は同11.2%増の上海で680万香港ドル(約9,710万円)、4位は同4.1%増のバンクーバーで635万香港ドル(9,070万円)、5位は同0.1%増の深センで530万香港ドル(7,560万円)だった。このようにトップ5のうち4都市がアジアの都市が占めるという結果になった。
最下位はイスタンブールが76万4000香港ドル(約1,091万円)、下から2番目はホーチミン・シティが80万7800香港ドル(約1,150円)だった。
住宅価格の伸び率で見るとバルセロナが前年比16.9%増でトップ、続いてタブリンが土同11.6%増、上海が同11.2%増、マドリッドが同10.2%増、パリが同9.1%増となった。CBREは、ニューヨーク、シドニー、トロントといったこれまで上位にランクインしていた都市の伸びが鈍っており、今後はヨーロッパの各都市の方が伸びる余地があると分析している。