香港でフランス文化を根付かせるべくさまざまなイベントが開催される「法国五月藝術/Le French May」が、フランス版「ミニ・アートフェスティバル」のような充実した内容で今年も5月1日から開催される。今年は日本をテーマにしたプログラムも予定する。
1993年に始まった同フェスはフランス人にとって第2次世界大戦の戦勝記念日などフランスにとって重要な月であることから、この時期にフランスを香港市民に知ってもらおうと在香港・マカオフランス総領事館が中心となって開催している。開催期間は5月1日から6月30日までの2カ月間。香港内各地で約120の演目を繰り広げる。
コスモポリタンの街、香港では世界各国のさまざまなイベントを行っているが、「ル・フレンチ・メイ」は約30年という歴史の長さやフランスという芸術の国ということから、規模、質ともにナンバーワンのイベント。香港市民にも大勢の人が楽しめるイベントとして定着している。フランス企業も積極的に協力し、公式冊子にもシャネルの広告が入るなど、フレンチメイの経済効果や浸透度は高い芸術イベントとして認知されている。
カテゴリーは、ダンス、クラシック音楽、オペラ、ジャズ&ポップスの「パフォーマンス」、日本人にもなじみが深いフランス映画を上映する「映画」、芸術やライフスタイルなどの「エキシビション」の3つ。これにスペシャルイベントと教育のプログラムが加わる。
パフォーマンスでは、「愛美麗日本生存記/Fear and Trembling」はベルギーの小説家、アメリ・ノートンが日本を題材にした自伝的小説「Stupeur et tremblements」(邦題=畏れ慄いて)を舞台化したもの。ベルギーで出生後、日本に引っ越して5歳まで日本で育ち、23歳から1年間、日本の企業に勤務。その体験を元に書いた作品で、フランスではベストセラーになった。同じく舞台「隱蔽(いんぺい)青年/Hikikomori」は引きこもりを題材にしたもので、本人、父親、母親の3人の観点から表現する。観賞後、引きこもりだけでなく、親子関係について話し合えるような作品に仕上げているという。
「エキシビション」は、「探索香水内在世界的秘密旅/Perfume voyage-Ormonde Jayne & Parfumerie Tresor」は香水の世界では有名なLinda Jayneさんが、香水の調合や製造だけではく、世界感、哲学などを含めて香水をどのように作っていくのかを説明する催しだ。
「映画」は「愛情、激情及誘惑魅力/French Cinema : Love, Passion, and Glamour」という題目で、約10作品を上映。カトリーヌ・ドヌーブさん主演の「昼顔」は、昼は娼婦、夜は貞淑な妻の顔を持つ若き人妻の二重生活を描き、1967年のベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。百老匯電影中心/Broadway Cinemathequeなど香港内にある3つの映画館で上映される。
ほかにも、5月15日は?馬地馬場(Happy Valley Horse Racing Course)ではFrench Mayのイベントに合わせて「法国賽馬日(French Day)」と名付けた競馬祭を行い、「Le French May Trophy」と「the France Gallop Cup」という2レースを予定する。
5月12日・18 日は尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のショッピングモールK11に設置される特設ステージでDJによる音楽を流したり、フランスのアニメを上映したりする。?枝角(Lai Chi Kok)にあるD2 Placeでは6月1日・8日・15日・22日の各土曜日に「Le French May Saturday Live@D2 Place」と題して、ワークショップ、音楽、料理などフランスの生活を垣間見ることができるイベントを予定する。
チケットはプログラムごとに設定している(200香港ドル前後が中心)が、フランス企業のスポンサーによる無料イベントも数多く用意する。チケットはURBTIX、戲曲中心(Xiqu Centre)、Art-Mate、百老匯戲院(BROADWAY CINEMA)などで販売中。6月30日まで。