中国とイタリアの国交樹立50周年を祝う事業の一環で、香港芸術館(HKMoA)とイタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館が初めて共同タッグを組んだ企画展「Botticelli and His Times - Masterworks from the Uffizi」が現在、HKMoA(10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon)で開催されている。
イタリア・ルネサンス期を代表する画家、ボッティチェリの作品を中心としたルネサンス絵画を紹介する同展。ウフィツィ美術館は、メディチ家が収集したレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ボッティチェリ、ラファエロなどイタリアを代表するルネサンス絵画の巨匠の作品が所蔵されているイタリアを代表する美術館だ。
今回の展示は同館から貸し出された作品など42点を通じて、ボッティチェリの作品に焦点を当てながら15世紀から16世紀にかけて起こったルネサンス運動について学べる内容とし、香港で初めてボッティチェリの作品を大々的に紹介する展示を目指した。
ルネサンス運動は古代ギリシア、ローマの文化を理想とし、それを復興させつつ新しい文化を生み出そうとする人間性を尊重する文化運動で哲学、芸術、科学など多方面にわたった。ルネサンス絵画の初期を代表する画家として知られているボッティチェリは「春(ラ・プリマヴェーラ)」「ヴィーナスの誕生」などの代表作が有名だが、今回の展示では、幼い洗礼者ヨハネが聖母マリアに抱かれたイエスを抱きしめている「聖母子と洗礼者ヨハネ」、教会博士として功績を残した聖人アウグスティヌスを描いた「書斎の聖アウグスティヌス」、イエスの誕生に貢ぎ物を持ってきた3賢者を描いた「マギの礼拝」なども展示する。当時、ルネサンス絵画の勃興に重要な役割を果たしたのがスポンサーの存在だった。当時のフィレンツェを支配していたメディチ家のスポンサーとしての役割は大きく、ボッティチェリの師にも当たる画家フィリッポ・リッピの作品にも焦点を当て、画家とスポンサーの関係にも光を当てる。
これらの作品に加えHKMoAは、香港のデザイナーでイラストレーターのトーマス・シウさんに巨匠の作品への理解を深めるためにイラストとアニメーションの制作を依頼。作品の歴史、哲学などを学べる仕組みを取り入れる。
同館では現在のコロナウィルスの状況を踏まえ、入場制限を設けているほか、来館者は入館前に体温チェックを行い、手の除菌と館内でのマスク着用が求められる。
開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。木曜休館(祝日の場合は開館)。2021年2月24日まで。