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香港芸術館(HKMoA)で企画展スタート 80年から90年代に転換期を迎えた香港のアートシーンをテーマに

馮美華(メイ・フォン)さんのビデオ・インスタレーション作品「She Said Why Me」

馮美華(メイ・フォン)さんのビデオ・インスタレーション作品「She Said Why Me」

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 香港芸術館(HKMoA)(10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon)が3月5日、香港美術を多様な視点から紹介する企画展 「多元視野―八、九○年代香港芸術新象(New Horizons: Ways of Seeing Hong Kong Art in the 80s and 90s)」をスタートした。1980~90年代の香港のアートシーンをゲストキュレーターのジャネット・フォンさんとの共同企画で紹介する。

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 キュレーターによる研究と展覧会を通じて、香港アートのユニークな一面を紹介することに力を注ぐ同館。芸術的な相乗効果を育み、香港芸術の解釈を豊かにするため、HKMoAは2018年、「香港芸術:客席策展(Hong Kong Art: Co-Creation」展を開催した。香港芸術の物語性をテーマにしたものを補完するコンセプトを探していた。香港現代美術の発展に新たなエネルギー、新たなビジョン、新たな経験を吹き込むと同時に、コミュニティーとのつながりやリソースを拡大・共有することで、より豊かな香港美術の歴史を描き出すために、ジャネット・フォンさんの提案が同館の共同キュレーションに採用され、実現した。

 1980年代から90年代にかけて、香港美術の発展は大きな岐路に立たされていた。香港を卒業したたり留学先から帰国したりした多くの若いアーティストたちが、創作活動を通じて新しい芸術の形や表現を模索していたことにより、インスタレーション・アート、ニューメディア、現代写真などが台頭し、香港の芸術創造に活気をもたらした。半世紀にわたって異文化を融合させた地元アーティストの創造的な成果を紹介した同館の「香港経験・香港実験(Hong Kong Experience・Hong Kong Experiment)」展を踏まえ、同展では、80~90年代の香港現代美術の新たな動向と躍進を検証している。ジャネット・フォンさんのチームと連携しながら、2年間にわたる取材、調査、整理を行い、香港のアーティストの躍進と業績を新たな視点で見ることができるようにした。7人の代表的なアーティストやアーティスト・グループの作品を展示し、当時の象徴的なアートスペースを再現し、アーカイブや資料を展示している。

 展示作品には、1996年にオーストラリアで開催された「アジア太平洋現代美術トリエンナーレ」で発表された陳育強(チャン・ユッケン)さんのミクストメディア・インスタレーション「Vertical Rye Field」の新版のほか、馮美華(メイ・フォン)さんのビデオ・インスタレーション作品「She Said Why Me」は、1989年2016年、2021年の3バージョンで展示している。開放政策後、香港の写真家として初めて本土に進出した馮漢紀(ジョセフ・フォン)さんのモノクロ写真シリーズ「Shenzhen」、「Boston/Yanggong Series」、3Dデジタルイメージのシリーズ「The Butterfly Dream Series」など、世界各地で撮影した作品も展示。加えて、2001年の第49回ヴェネチア・ビエンナーレの第1回香港パビリオンで発表された鮑藹倫(エレン・パウ)さんの作品「リサイクル・シネマ」を初公開し、時代変化の中で詩的な感性を捉えている。蔡仞姿(チョイ・ヤンチー)さんのインスタレーション作品「Butterfly Dream as Smoke」も再解釈し、前衛的なアート・インスタレーション・パフォーマンスを映像にした作品で紹介している。

 同展では、アーティストによる革新的な作品に加え、アートと社会への理解を目的とした展覧会、出版物、討論会、教育プロジェクトを行ってきた独立したアート機関「パラサイト」の創設メンバーによって1998年に制作されたサイトスペシフィックなプロジェクト「コーヒーショップ」を再構築した。アートスペースをカフェに見立て、アーティストたちは作品を会場内に展示し、鑑賞者が作品を楽しみ、その場で交流できるようにしたり、写真作品なども展示したりしている。

 来年4月24日まで。新型コロナ肺炎対策により入場人数を制限している。

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