香港政府は12月31日、オミクロン株についての新規感染者は海外からの入境者が17人、市中感染が2人と発表した。理由はキャセイパシフィック航空のクルーの検疫違反によるもの。世界110カ国・地域で感染が確認されているオミクロン株。香港は厳しい水際対策で侵入を防いできたが、83日続いていた市中感染の記録が大晦日で途絶えた。
香港は2日現在、累計感染者数が1万2693人、死亡者は213人、回復者1万2489人、新規感染者は26人で、すべて輸入症例だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が489万1272人(72.6%)、2回目も終えた人は466万8819人(69.3%)となっている。3回目の接種回数は40万5768回だ。
市中感染については、最初の1人は、44歳男性のキャセイのクルーでケース番号は12611。アメリカからの貨物便で12月25日に香港に到着。3日間の自宅隔離を無視し12月27日の13時半から15時に九龍塘(Kowloon Tong)にある大型ショッピングモール内の中華レストラン望月楼(Moon Palace)でランチを父親と一緒にとっていた。父親はその後の検査で陽性となった。
もう1人は34歳男性で、同じく27日に望月楼14時半から16時の間に前述のキャセイクルーから10メートル離れたテーブルで家族3人と一緒に食事をしていた。29日に咳の症状がでたことからPCR検査を受けたところ陽性と診断された。これを受けて、キャセイのクルーは濃厚接触者として検疫センターに移送され、PCR検査を受けたところ陽性と確認された。これにより、キャセイのクルーが感染源であることが明確となった。
キャセイのクルーは5月29日と6月19日に、男性は6月13日と7月4日に、米ファイザー / 独ビオンテック社が開発・製造し、中国本土・香港・台湾における販売代理店である上海の復星医薬(Fosun Pharma)が供給する「復必泰(Comirnaty)」を接種していたため、共にブレークスルー感染となる。
これまで航空会社のクルーが香港に戻って来た時は、21日の隔離では運航に支障がでることから、香港政府は特例として3日間の自宅での隔離のみが義務づけられていた。その後、12月29日より政府指定ホテルでの3日間の強制隔離に変更され、更に1月1日からは到着後7日目にPCR検査による陰性となるまで隔離期間が伸びることになった。また、同航空は1月6日までの7日間、すべての長距離貨物便および貨物便扱いしている旅客便の運航を中止した。
キャセイは声明の中で、「最近、合わせて5人のクルーに新規感染者がおり、その一部が規定違反をし、その内2名はキャセイの職員ではない」と説明し、すでに解雇した事も明らかにした。
香港政府は1月1日、香港内の施設77カ所を訪れた香港市民に対してPCR検査を受けなければならない公告を発令した。5人の陽性者などが関連する施設を遡った結果、SOGO、時代広場(Times Square)の豊澤(Fortress)、太古広場(Pacific Place)のGreat Food Hall、西営盤(Sai Ying Pun)のマクドナルドなどがリストアップされている。