林鄭月娥(Carrie Lam)行政長官は1月14日、オミクロン株の拡大を受け現在進めている厳しい防疫対策について、2月3日までの旧正月休みいっぱい継続すると発表した。それを受け、第5弾の35億7,000万億香港ドル規模の助成金の支給を決めたほか、1月14日からは幼稚園と小学校の対面授業を停止。一方、日本政府も同じ14日、水際対策において自宅などでの待機期間を14日から10日間への短縮を決めた。香港から日本に帰国した場合も10日間の隔離となる。
香港は17日現在、累計感染者数が1万2864人、死亡者は213人、回復者1万2476人。新規感染者は11人で、全て輸入症例・輸入関連症例となっている。一方、ワクチン接種者については、1回目が513万3291人(76.2%)、2回目も終えた人は472万4164人(70.1%)となっている。3回目の接種回数は65万6335回だ。
香港政府は1月4日、防疫対策について1月6日から19日まで延長することを決めていた。しかし、林鄭長官はオミクロン株の市中感染が依然として発生していること、旧正月中の人流増加による感染拡大することを危惧し、2月3日までのさらなる延長を決めた。これにより、公衆での集まりを制限する「限聚令」については最大4人、公共の場や公共交通機関でのマスク着用義務についての変更はない。レストランの18時から翌朝5時まで店内飲食禁止、他の時間帯においても、B類は1卓当たり2人まで、C類は同4人、D類は同6人まで、収容人数の上限や客が入店する際の「安心出行(LeaveHomeSafe)」の使用義務に変更はない。
バー・パブ、アミューズメント施設(ゲームセンター、ビリヤード場、ボウリング場、アイスリンク)、浴室、フィットネスセンター、公共娯楽施設(コンサートホールなどの会場)、パーティールーム、美容院、ナイトクラブ、カラオケ、マージャン、マッサージ、スポーツ施設、スイミングプール、クルーズ船、イベント会場は営業停止が継続となる。毎年恒例の旧正月の大型イベントや花市も中止が決まった。
これを受けて各業界の経営が厳しくなることから香港政府は35億7,000万香港ドルの助成金支給を決めた。政府は経済救済のため「防疫抗疫基金」を設立しており、これを通じて支給する。これまでに、経済対策は、第1弾が300億香港ドル、2020年の財政予算案で1,200億香港ドル、第2弾で1,375億香港ドル、第3弾は240億香港ドル、第4弾は54億香港ドルだった。
水際対策で規定以上の新規感染者が出た場合、香港に到着する便を14日間禁じる「熔斷機制」だが、オーストラリア、カナダ、フランス、イギリス、アメリカ、インド、パキスタン、フィリピンの8カ国は2月4日まで措置が延長される。
さらに、1月14日から2月1日の旧正月初日まで香港内にある全ての小学校、幼稚園について対面授業と構内活動を停止することを決めた。登校は旧正月休み明け以降になる。中学校以上は対象にならない。北京の科興控股生物技術(Sinovac Biotech)が開発、製造するワクチン「克爾来福(CoronaVac)」について3~17歳に対象年齢を引き下げることが決定していたが、林鄭行政長官は1月11日、5~11歳までの児童を対象に接種を許可すると発表した。学校で接種することを想定しており、旧正月休み明けのから段階的に始まるものと見られている。
銀行も営業時間を一部変更する。香港上海匯豊銀行(HSBC)は、基本的には1月13日より平日は10時~16時、土曜は10時~12時。渣打銀行(Standard Chartered Bank)は10時~17時、土曜は10時~13時とした。
日本政府は1月14日、オミクロン株の感染拡大で隔離期間を14日にしていたが、オミクロン株が支配的となっている国・地域からの全ての帰国者・入国者については、潜伏期間がデルタ株などこれまでの新型コロナウイルスの株より短いと判断し、自宅や宿泊施設での待機を14日から10日に短縮した。既に入国済の人も対象となっている。香港から日本の一時帰国する場合なども適用されるため、特にホテルで隔離している人にとって経済的な負担が軽減される。外国人の新規入国の停止は継続している。