香港では14版目となる「ミシュラン・ガイド香港・マカオ版(米芝蓮指南香港澳門)2022」が1月19日、新型コロナウイルスの影響もあり昨年に引き続きオンラインで発表された。香港で星を獲得した店は前年比2店舗増の71店で、うち3つ星は前年と同じ7店だった。
マカオで長らく発表会が行われてきた香港・マカオ版の発表だが、今年も新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、マカオへの渡航自体が容易ではないことからオンラインでの発表となった。
星別に見ると、3つ星を獲得したのは、フォーシーズンズに入っているフランス料理「Caprice」、アワビを使った料理が有名な「富臨飯店(Forum)」、イタリア料理店の「1/8 Otto e Mezzo-Bombana」、世界的フレンチ料理のシェフ、ジョエル・ロブションの「L'Atelier de Joel Robuchon」、広東料理の「龍景軒(Lung King Heen)」、日本からは「すし志塊」、広東料理の「唐閣(T’ang Court)」、の7店。顔ぶれは3年連続同じとなった。実力のある店は厳しい経営環境の中でも破綻することなく星を維持した。
2つ星は前年と同じ12店だが、2店が入れ替わった。いずれも1つ星からの昇格。中環(Central)にあるイタリア料理の「Octavium」は2017年にオープンし、その独創性から1年半後には1つ星を獲得するという勢いのあるレストラン。もう一店は、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)のインターコンチネンタル香港内にある「欣圖軒(Yan Toh Heen)」。過去にも2つ星を獲得したことがある。ビクトリアハーバーの眺めを見ながら食事ができる広東料理店だ。
2つ星を維持したのは、ランドマークマンダリンオリエンタルの「Amber」、フランス料理の「Arbor」、モダンチャイニーズの「BO Innovation」、フランス料理の「Ecriture」と「L’Envol」、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)にある広東料理の「新同楽(Sun Tung Lok)」、ジャパニーズフレンチの「Ta Vie 旅」、チャイニーズフレンチの「Tate Dining Room」、広東料理の「天龍軒(Ting Lung Heen)」と「営致会館(Ying Jee Club)」だった。
受賞に当たり、Ta Vieの佐藤秀明シェフは「ここ数年香港のレストランシーンはいろいろと難しい状況が続いていた。昨年は久々にどこも集客には恵まれていたものの、一方でスタッフが足りていない状況もあった。そんな中でクオリティーを保つための日々の努力がここに報われたことに感謝している」とコメントを寄せる。
2つ星だった日本食の「鮨さいとう」は1つ星に、大阪が本店の「柏屋」は2021年7月に閉店した。
1つ星は同2店増の52店で、うち新規は7店が入った。新しい1つ星店を見ると、フランス料理の「Belon」は「アジアのベストレストラン50」にランクインする常連。ローズウッド香港に入っているインド料理の「Chaat」はコロナ禍の2020年5月にオープンしたばかりだが予約困難の店として人気を集める。完全予約制の韓国料理「Hansik Goo」は韓国宮廷料理を提供。天后(Tin Hau)にある「I M Teppanyaki & Wine」は名前の通り鉄板焼きとワインに自信を持つ店。3つ星シェフに輝いた経験があるリカルド・シャネトンさんが率いる「MONO」はコンテンポラリーフレンチ料理を提供する。福臨門の流れをくむ広東料理の「家全七福(Seventh Son)」も選ばれた。過去にも1つ星に獲得していた「鮨わだつみ」も再び1つ星を獲得した。
昨年創設された「持続可能な取り組み」を評価する「グリーンスター」には、銅鑼湾(Causeway Bay)にある「Roganic」が今年も選ばれ、さらに「Amber」が2つ星とのダブル受賞となった。