宮崎県香港事務所とJA宮崎経済連が8月26日、香港中文大学専業進修学院で宮崎甘藷(サツマイモ) の料理体験教室を開いた。
宮崎県と香港中文大学専業進修学院が2019 年に連携協定を結び実施してきた、インターンシップ生の活用など交流事業などの一環。現在同学院には約100人の学生が日本や日本語に関する学びを選択し、そのうち約半分の学生が宮崎県との交流プログラムに参加している。 過去には実際に宮崎に滞在しながら、現地の風土や文化、生活を体験するプログラムを実施したが、コロナ禍で宮崎を訪れることはできなくなってしまった。そこで、宮崎大学が中心となり香港中文大学専業進修学院と相談しながら内容を練り、 8月22日~9月2日の平日10日間を使った宮崎だけのプログラムが完成した。
日本語の授業や宮崎からのオンライン中継、宮崎の高校生との交流などでの授業を展開しているが、その取り組みの一つとして、実習である料理体験教室を行うことになったという。
宮崎県の対香港への甘藷の輸出は歴史も長く、香港で人気のある日本食材の一つになっている。甘藷は野菜が少ない夏場の間でも出回り、スーパーで袋のまま売られるだけでなく、ドンキなど焼き芋器まである店もあり、香港は輸出先としては1位、2020年は日本全体で年間2700トン以上を輸出している。香港ではこれまで、小さいサイズの甘藷がよく売れてきた。
当日実習に参加した45人は4~5人ずつのグループに分かれて、宮崎甘藷を使ったスイートポテト作りに挑戦。最初は宮崎側からサツマイモの種類や歴史、機能のほか、今回使う「ヤマダイ甘藷」について説明。年3回収獲の時期があることなどを学び、その後、実習に移った。皮をむいて水にさらしたサツマイモとアイスを混ぜ合わせ、手のひらで形を作ってカップに並べ、砂糖を振りかけ、バーナーで焼くもの。丸い形だけでなく、ハートや雪だるまを作る学生もいた。
学生の一人、李宗鴻さんは「この料理教室や他の授業を通じて、宮崎県の名物・物産は種類が多いと感じた。簡単な甘藷でこんなきれいなデザートを作れるなんて思っていなかった」と驚いた様子を見せる。
プログラム全体を通しては日本の歴史の授業に興味を持った学生が多く、「元々アニメが好きだが、うまくアニメで歴史を表現しくれて深く理解できた」と鄭愷●さんは話し、「明治時代のことだけでなく、弥生時代などについても勉強した」と振り返る学生も。ほかにも日本のマナー教室などを挙げる学生もいた。オンラインでは、「宮崎へ行けないのは残念だったが、オンラインの授業でも宮崎のことよく認識できた。一番印象に残った体験は高千穂峡からのライブ授業で、高千穂峡のスリル感を感じることができた」と羅懷希さん。
香港側で同プログラムのマネジメントを担当する講師の飯田由美さんは「学生が日本で行きたいところは2つに分かれ、もちろん東京を挙げる人もいるが、一方で宮崎のような田舎の風景に魅力を感じる学生も多い」と話し、「このプログラムだからこそ、普段日本の旅行では体験できないようなことができる魅力がある」と意義を語る。「本来であれば宮崎を訪れてという形が理想的ではあるものの、オンラインならではの触れ合いやプログラムの充実を図ることができた面もある」と話す。
同プログラムは9月2日の閉校式まで、オンラインでのドライブ体験、農村民泊、装道体験などのプログラムを予定している。
●=丹へんにさんづくり