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香港国際空港、第3滑走路と天際走廊の供用開始 コロナ後のハブ空港の維持狙う

第3滑走路の初便到着時には空港で放水式も行われた

第3滑走路の初便到着時には空港で放水式も行われた

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 機場管理局(AA)は11月25日、香港国際空港(HKIA)の「第3滑走路(3RS)」の供用を始めた。その前には第1ターミナルと北西部にある北衛星客運廊(T1 Satellite Concourse)との間を結ぶ天際走廊(Sky Bridge)の運用も始めており、ウィズコロナ、アフターコロナに向けて、香港国際空港がアジアのハブ空港の座を維持することを狙う。

11月から供用開始となった第1ターミナルの連絡通路「天際走廊」

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 1998年にオープンしたHKIAは世界有数の国際空港として開港し、2000年代前半はイギリスに拠点を置く航空サービス調査会社、スカイトラックスの空港評価で世界一の空港に何度も輝いたことがある。香港という場所、フリーポートであることからアジア有数のハブ空港として知られ、新型コロナウイルスの前は年間8000万人が利用していた。

 航空需要の高まりから発着能力が限界に近くに達したため、香港政府は現在の滑走路の北側の海をビクトリアパーク34個分に相当する650ヘクタール分埋め立てる形で第3滑走路の建設することを決め、2016年8月に着工し、2021年9月に竣工した。総工費は約1,415香港ドル、埋め立て面積は650ヘクタール、全長3800メートル、幅60メートル、路面は厚さ1メートルにも及ぶ5層構造で、飛行機の離着陸やターミナルへと誘導する1万4000個の滑走路灯などを設置している。空港全体の地盤沈下の問題が発生しており、その対策工事も併せて行ってきた。2022年7月にテストを兼ねた運用を始め、これまでに1万1000回の離発着を行った。

 第3滑走路に合わせて建設中の新しいターミナルであるT2は2024年に完成予定。大きさは28万平方目メートル、63機が駐機可能。年間3000万人の乗客取扱能力があることからHKIA全体で年間1億2000万人の乗客の利用が可能となる。航空貨物の処理能力も年間約500万トンから1000万トンに引き上げられる。

 時期を同じくして、第1ターミナルに「天際走廊」と呼ぶ連絡通路が誕生した。北西部にある北衛星客運廊は、第1ターミナルから北側に離れた場所にあり、バスでの移動が必要で、コロナ前は1日400台のシャトルバスが運行されていた。スムーズにいっても10数分、混み合うと20~30分待ちになるため、それを解消するため巨大な連絡通路で2つをつなぐことにした。これにより歩いて8分ほどで北衛星客運廊にたどり着けるようになった。

 総事業費9億香港ドルの天際走廊は、高さ28メートル、長さ200メートルで、A380などの大型旅客機でも天際走廊の下をくぐり抜けることができる巨大ブリッジ。通路の一部の床はガラス張りになっており、展望台を設けた。北衛星客運廊に向かって天際走廊を歩いている間に、眼下を旅客機が通過するという、普段では見ることのできないアングルで飛行機を見ることも可能。

 これにより、航空機の滞留時間が短くなり、発着回数の増加が見込める。シャトルバスも不必要になるため、年間3万5000リットルの軽油の節約につながるという。

 香港はウィズコロナに切り替わったタイミングが世界的に見ると遅かった。その間、別の空港が代替空港として利用されたため、HKIAはハブ空港としての地位が危うい状況にある。第3滑走路や天際走廊を活用し、現在建設中の第2ターミナルが完成すれば、空港の処理能力向上により、ハブ空港としての競争力を維持できる考えだ。

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