至る所で文化的なイベントや斬新な試みが散見される香港だが、2018年上半期のランキング1位は香取慎吾さんによる壁画ペインティングに関するものだった。
今回のトップテンは、これまで上位に目立つことが多かった飲食店進出についての記事はあまりなく、有名人の来港や香港の開発のほか、より大きな視点での香港の動きや新スポットに注目が集まった。2位は香港でも満員の観客で会場が熱くなった安室奈美恵さんの香港最終公演。香港のファンを前に特に初日の安室さんは感情を出して涙を流した。
ランキングは、今年1月1日から6月30日までに配信したヘッドラインニュースの PV を集計したもの。上 位 10 位のランキングは以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. 香港の街角に香取慎吾さんがペインティング 夜を徹し18時間かけて完成(3/27)
2. 香港で安室奈美恵さん最終公演 3時間30曲を歌い踊り最後に涙(4/2)
3. 香港の飲茶老舗「蓮香楼」の建物が売却へ オフィス・ホテル建設予定で申請とも(1/9)
4. 香港国際空港、拡張計画続く 改装でフードコート24時間営業化、市場価格に (5/11)
5. 「リージェント」が香港に復活へ インターコンチネンタル買収でリブランド(3/26)
6. 香港で16の歴史的建造物が無料開放 「インスタ映え」スポットも (6/6)
7. レスリー・チャンさんの命日に多くの香港市民が献花ささげる 没後15年 (4/2)
8. 香港に「ラルフローレンカフェ」登場 アジア初の展開 (4/6)
9. 香港島に10年ぶり5つ星ホテル「THE MURRAY HONGKONG A NICCOLO HOTEL」 (2/9)
10. フィリピンのファストフード大手「ジョリビー」、「添好運」のアジア・太平洋の経営権取得 (5/14)
インターコンチネンタルがリブランドし、2021年に「リージェント」が香港に復活するニュース(5位)は、リージェント時代を懐かしむ層から多くの反響が寄せられ、また10年ぶりに香港島にできた5つ星ホテル「THE MURRAY HONGKONG A NICCOLO HOTEL」開業について(9位)など、香港ならではの高級ホテルのニュースにも注目が集まった。加えて、数少ないワゴン式の飲茶を楽しむことができ、夜はリーズナブルな広東料理を楽しむことができる「蓮香楼」も、建物が売却されたことでいつまで営業が続くかという心配の声が多く(3位)、良心的な価格と昔ながらの雰囲気を残す中華「アメリカン・レストラン」の突如閉店(14位)などにも多くのファンが悲しんだようだ。香港国際空港の拡張計画(4位)や新しい地下鉄MTRの路線名が「屯馬線(Tuen Ma Line)」に決定したニュース(12位)の類いのニュースも依然として高いランキングを誇る。香港で16の歴史的建造物が無料開放された記事(6位)などは、1位の香取慎吾さんの香港の壁へのペインティングを含め、香港政府が積極的に観光客を視覚的にも楽しませるスポットを多く用意するプロモーションの仕掛けが読者にも届いていることをうかがわせる。
今年の最大の関心は、完成が遅れていた香港、マカオ、広東省珠海を結ぶ「港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)」がいよいよ正式開通される見通しで、現在テスト走行などが行われていることだ。橋自体の走行時間は約30分と現在のフェリーの約半分となる。香港の西九龍と中国本土の広州をつなぐ高速鉄道「広深港高速鉄道」についても、今年中の開通が予定されている。完成すれば、広州~香港間の鉄道での所要時間も現行の約半分に短縮されるなど、経済活性化へ注目がますます高まる。2018年下半期も香港の動向や香港での日本の動きについて伝えていきたい。