高知県国際観光課は11月25日、香港・中環の居酒屋「高知駅」と共同で、香港で県内の観光地と県産の日本酒を紹介するイベント「土佐酒之夜」を開催した。
高知県には四国最長の河川である四万十川をはじめとする有名な河川が多くあり、日本酒造りに必要な水資源に恵まれている。近年は「吟の夢」「土佐錦」など県産の酒米の開発にも力を入れているほか、「酒国・土佐」という呼び名もある通り、日本酒の消費量・消費額も多い。
会場となった同店は2023年のオープン以来、高知の食材を使ったメニューや高知にちなんだメニュー、日本酒などを多く提供してきた居酒屋。これまでも数銘柄の土佐酒の扱いはあったが、今回のイベントのためにさまざまな日本酒を集めた。日本酒文化が年々浸透している香港で、「土佐酒」と呼ばれる高知県産の日本酒と共に観光情報を掛け合わせて紹介することで、香港人に高知の魅力を伝えたいとの思いから、同店と高知県が共同で企画した。当日は現地メディアや一般の高知好きな人など約30人の参加者が集まった。
イベント中には、香港のアーティスト「火日比」さんが描き上げた高知のモチーフを詰め込んだ象徴的な壁画のある屋外テラスで、高知県に関するプレゼンテーションを実施。県内に18ある酒蔵や高知の各エリアを紹介し、高知県酒造組合の竹村昭彦理事長もビデオでメッセージを寄せた。
その後、9種類の土佐酒とそれぞれの酒に合う料理を組み合わせた、イベント限定のスペシャルコースを提供。土佐酒は、酔鯨酒造「酔鯨」のような、香港でも多く流通し同店でも普段から提供されているものだけでなく、普段は同店で提供していない、当日のために特別に集めたものも多く用意した。
県産の酒米「吟の夢」を100%使い、「華やかな香りが特徴」の高木酒造「豊能梅 純米吟醸 吟の夢」には、高知特産の秋に採れる珍しいタケノコ「四方竹(しほうちく)」の野菜炒めを合わせた。他にも、淡麗辛口が多いといわれる土佐酒の中でも超辛口の司牡丹酒造「船中八策」は、カツオのたたきを入れて巻いた高知の名物料理「土佐巻き」と共に提供したり、県産のユズを使った「山柚子(ゆず)」、高知市・針木(はりぎ)産新高梨(にいたかなし)の果汁を使った「まるはりヌーボー」なども食後酒として用意した。
参加者が土佐酒と料理を楽しむ間、提供する土佐酒に合わせ、各酒蔵が位置するエリアの周辺の観光スポットや特産品などを紹介。高知の酒や食を楽しめる「ひろめ市場」、「仁淀ブルー」で知られる「仁淀川」などの観光地や、高知城で12月から開催される、光によって浮かび上がる影を楽しむイベント「シャドウアップ高知城」のようなイベントも紹介した。参加者の一人は「高知には前から興味があったが、さまざまなスポットがあることが分かったので、次回の旅行でぜひ行ってみたい」と話していた。
高松に加え隣接する徳島にも直行便が就航したことで、高知を訪れる香港人の増加に期待がかかる。高知県観光コンベンション協会の担当者は「このイベントを通して、視覚・聴覚・味覚を通じて高知の魅力を体験し、香港の人々に高知への旅行を考えてもらうきっかけになれば」と期待を込める。