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香港への日本の農林水産物・食品輸出額、2位を維持 2カ月連続前年比プラスに

香港内のスーパーマーケットには常に日本の野菜や果物、肉などが並ぶ

香港内のスーパーマーケットには常に日本の野菜や果物、肉などが並ぶ

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 日本の農林水産省は香港への日本の農水産物・食品の2024年の輸出額は前年比6.6%減の2,210億円と発表した。これは農水省が2月4日に「2024年の農林水産物・食品の輸出実績」を発表したもので、全体では、前年比3.7%増の1兆5,073億円と過去最高を記録した。国・地域別でみると、香港は東京電力福島第一原子力発電所に関連する多核種除去設備(ALPS)処理水による輸入制限を実施しているものの、アメリカに次ぐ2位を維持した。

日本の高級果物が並ぶスーパーの棚

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 国・地域別でトップに立ったのは、前年3位だったアメリカで、同17.8%増の2,429億円で全体の17.2%を占める。香港はALPS処理水に関する輸入規制を2023年後半の8月に始めたため2023年は前年比を上回っていたが、2024年は通年で輸入規制が適用されたため同6.6%減の2,210億円と前年を下回った。輸出額の15.7%のシェアを占める。3位は台湾で同11.2%増の1,703億円(12.1%)、4位は前年までトップだった中国で同29.1%減の1,681億円(11.9%)。中国も輸入規制が大きく影響している。5位は韓国で同19.8%増の911億円(6.5%)。6位のベトナムと7位のタイは両国とも伸び率が約23%と大きかった。

 「輸出重点品目における輸出額の増加が大きい10品目」で見ると「ソース混合調味料」で86億円増。日本式カレーの人気の高まりで、アメリカ、韓国向けが伸びた。「緑茶」は72億円増で、健康志向と日本食への高まりからヨーロッパ向けが伸びている。「牛肉」は70億円増で、今はブランドとなった日本産和牛は世界中で需要が大きかった。

 減少したのは「なまこ(調製)」で64億円減。中国の輸出制限が直撃した。「ウイスキー」も64億円減となったが、これはジャパニーズウイスキーの定義厳格化による事業者の撤退と原酒不足などが響いた。

 農水省は「2024年の中国・香港向け農林水産物・食品の輸出額(1~12月)」の中で、減少した中国・香港について解説している。香港では、「農林水産物・食品の輸出額」2,210億円のうち「水産物」が13.2%減の883億円となった。そのうち「魚介類」は9%減の169億円だったものの、「ホタテ貝」が同12.6%増の168億円となっている。

 さらに、年末の2024年11月、12月単月で見ると状況が異なる。2024年当初も前年同月比プラスの月はあるものの、「農林水産物・食品の輸出額」は11月が9.1%増の246億円、12月が6.2%増の218億円と再びプラスに転じた。香港への12月の輸出額は「水産物」は同7.7%減の72億円だったが、「魚介類」は同13.8%増の16億円、「ホタテ貝」は同18.3%増の31億円となっている。中国本土へのホタテが輸出できなくなったことについては、日本国内でも数多く取り上げられたが、マイナスながらも輸出が続いていた香港では前年同月比でプラスに転じており、2025年に向けて明るい材料となった。

 香港は人口わずか750万人の都市で、輸入制限が行われているにもかかわらず2位を維持した事実は、香港における日本食の需要が高いことを示している。人口で割ると1人当たり約3万円を消費している計算になり、他国・地域と比べても突出して高い。こうした背景もあり、2024年も香港には多くの日系の飲食店が進出したといえる。

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