農林水産省は2月8日、「平成30年農林水産物・食品の輸出実績」(速報値)を発表し、2018年の農水産物・食品の輸出額は前年比12.4%増の9,068億円だったことを明らかにした。輸出実績に含まれない1品目20万円以下の貨物(少額貨物)は同12.7%増の520億3,000万円だった。国・地域別では、香港が同12.7%増の2,115億円でトップだった。
日本は少子化の影響による人口減によるマーケット規模の縮小から海外に活路を見出さざる得ない状況と長らく続く世界的な日本食ブームが重なって順調に輸出を伸ばしている。5年前の2014年比べてみても、当時の輸出総額は6,117億円だったことから48.2%も増加したことになる。農水省では2019年の目標を1兆円に定めている。
国・地域別ではトップの「香港」に続いて2位になったのは「中国」の1,338億円で、伸び率は同32.8%増と大幅に伸びた。3位は「アメリカ」で同5.5%増の1,177億円だった。食品別でみるとトップは、「加工食品」が前年比17.7%増の3,101億3,900万円、2位が同10.5%増の「水産物(調製品を除く)」で2,267億500万円、3位は「その他農産物」が同8.1%増の1,050億4,300万円という結果になった。
香港の細かな輸出品目別に見ると、1位は「真珠」で2598万9511グラム、310億1,140万円だった。真珠は、統計上は輸出品目に組み込まれている。単価が高く、貴金属店も多くあり、香港を経由した取引多い。2位は「なまこ(調製)」で56億9359万グラム、198億3,024万円だった。調製なのでなまこの干物が基本で、世界的に干物の中心地でもある香港に輸出された。3位は「たばこ」でこちらも統計上は真珠と同様に輸出品目にくみこまれる。22億6138万グラム、109億3,560万円となっている。
品目別で香港が世界トップになっているものは多く、豚肉(くず肉を含む)、鶏肉(くず肉含む)、牛乳・部分脱脂乳、鳥卵・卵黄、米、小麦粉、即席麺、うんしゅうみかん等、ブドウ(生鮮)、メロン、梨、桃(ネクタリンを含む)、イチゴ、キャベツ(芽キャベツを除く)、乾シイタケ、乾燥豆(さやを除いたもの)、かんしょ(生・蔵・凍・乾)、砂糖(精製)、菓子(米菓を除く)、キャンデー類、チョコレート菓子、ぶどう酒、マーガリン、清涼飲料水等、油脂原料、薬用にんじん、錦鯉等観賞用魚、カキ(缶詰)、ホタテ貝(調製)、アワビ(調製)、貝柱(調製)だった。柿と清酒は2位で、前者はタイ、後者はアメリカに次ぐ順位となった。すし店が多い香港は、市場で朝仕入れた鮮魚を航空便で運べば同日の夜に食べられるが、水産物の魚別でトップに立ったものは実はない。つまり、1位にならなくても2位、3位につける輸出品も多く、まんべんなく高いレベルで輸出することでトップに立ったと言える。逆に言えば、トップに立てなかったものは、伸びしろがあることも明らかになった。
一方、食品の輸入で日本が唯一香港から輸入してナンバーワンになったのはうなぎ(稚魚)で、6552キロ、209億7,958万円だった。