香港とマカオを船で結ぶ噴射飛航(TurboJET)は9月1日より、香港とマカオを結ぶ路線を15分に1回だった運航を20~30分に1回に減便した。2018年10月23日に港珠澳大橋(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)が開通したことから、乗客による陸路へのシフトが影響した。
ターボジェットを運航するのは信徳集団(Shun Tak Holdings)で、カジノ王、何鴻●(Stanley Ho)が創業したコングロマリット。ターボジェットは同集団の傘下企業の一つで、マカオのカジノのライセンスを持っている。マカオ自体の人口は今でも100万人に届かず、昔は中国からの観光客の受け入れについては現在よりも大幅に制限されていたため、マカオ市民だけで十分な利益を確保するのが難しく、香港市民に利用を促すため、1962年に運航を始めた。その後、徐々に船をグレードアップしていき、高速船である現在の「TurboJET」というブランド名にしたのは1999年から。
今回減便の対象となったのは上環(Sheung Wan)とマカオの外港客運碼頭(Outer Harbour Ferry Terminal)を結ぶ路線。これまでは7時~23時59分は15分間隔で営業してきたが、日中の7時~16時59分は20分間隔、夜間の17時~23時59分は30分間隔に変更となり、1時間当たり、昼間は1便、夜間は2便減ることになる。深夜24時から6時59分については上環からマカオへの便は減らないものの、マカオから香港に結ぶ便が7便から5便に減る。さらに、これまで九龍と●仔(Taipa)は9時30分、11時30分、12時30分の1日3便あったが、12時30分便が暫定的に運航中止となり午前のみの運航となる。
減便の理由は港珠澳大橋の開通だ。信徳集団は8月25日に中間決算を発表したが、調整後利益は前年同期比17.3倍の34億400万香港ドルと高収益を上げた。一方、ターボジェットの業績だけで見ると乗客数は前年同期比で32%も減少し、利益も同1億8,600万香港ドルの黒字から7,000万香港ドルの赤字に転落した。特に中国本土の観光客が港珠澳大橋を走るバスに乗り換えるケースが増えた。広東港珠澳大橋シャトルバス社によれば現在、運転手は約280人、車両は約160台体制で、大橋の開通から今年5月中旬までのゴールドバスの利用者は延べ1066万人、運行本数は延べ45万5000本に上ったという。現在、信徳集団は乗客数を回復させるための対策を考えており、何とか短期的な業績低迷に抑えたい考えだ。
一方、香港のフラッグシップキャリアである国泰航空(Cathay Pacific Airways)と合併したLCCの香港快運航空(HK Express)は、9月9日から来年8月3日までのマカオを訪れる人を対象に2,380円~の料金を期間限定で設定した(香港からマカオへの交通費は別途必要)。香港国際空港とマカオを結ぶフェリー路線は1日5便ほどと便数は多くはないが税関手続きをせずにマカオに向かうことができるため利用者にも好評であることから、プロモーションを通じて乗客の一部がフェリーを利用することとデモによる乗客の減少を最小限に抑えたいとする。
●=火三つの下に木。●仔=乙へんに水