「持続可能な社会」の達成に向け香港政府がプロジェクト「緑在區區(Green Community)」を立ち上げている中、最近は街中にリサイクル用品を回収するステーションも増えている。リサイクルのポイントカードを創設するなど、環境にやさしい社会への取り組みを従来以上に本格化し始めた。
香港では、街角や一部のマンション内に種類別のゴミ箱が設置されているが、基本的に今でも分別せずにゴミを捨てる社会だ。環境保全という観点から見ると、日本やヨーロッパからかなり遅れている。そのため、ゴミ処理場の問題などが常に山積している状況だ。
その背景として、香港は資本主義の中でも原理主義的な街で、レッセフェールを推進してきた経緯から、ビジネスなどで成功すればお金持ちなりの生活を謳歌(おうか)でき、それを嫉妬ではなく成功を称賛する社会である点にある。そのため、街には物欲を刺激するものも少なくなく、高級レストラン、ブランドの商品であふれているほか、お金がある人はSNSでも成功の証として、そうしたものをどんどん発信する。質素・簡素な生活を美化する概念はあまりないことから、そうした類いのSNSでの発信も少ない。シャンプーなどの詰め替え商品もほぼ販売されていないなど、レジ袋が有料であるほかは庶民レベルでも環境問題を意識する時間はほぼ無い。
香港としては、まず分別収集を理解してもらおうというところから始まる。新聞紙やチラシ、金属、ガラス容器、電器、小型電器、充電池、電球、蛍光灯などをリサイクル品として回収する。
香港政府は、そのために香港内9カ所に回収環保站(Recycling Stations)を設け、今後、西貢(Sai Kung)と湾仔(Wanchai)にも開設することが決まっている。場所にもよるが運用時間は8時~20時のところが多い。分別用のゴミ箱があるほか、ゴミについての理解を深めてもらおうとワークショップも開かれ、再利用可能な古本や古着などを無料で提供するフリーマーケットなどを開催する。
ほかにもリサイクル品回収専用の場所「回收便利點(Recycling Stores)」(9時~19時)を22か所に設置している。2020年第4四半期に始まったのが、決まった場所に固定された時間にテントなどを使って設置される臨時の回収地点の「回収流動點(Recycling Spots)」だ。
香港人への意識付けを加速させるため、政府は「緑緑賞(Green Smart Card)」と呼ぶポイントカードを創設し、一度に2キロ以上のリサイクル品を出した時に、このカードを作ることができる。それ以降はリサイクルする度にポイントがたまっていくシステムで、一定のポイントがたまると米、麺、調味料、食用油、タオル、日用品など生活必需品に交換できる。