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香港・銅鑼湾の「京おでん・まさ」、同じエリアで移転 調理場も拡大

コースメニューのおでんは通常より少しポーションを小さめにし、多くの種類の味を楽しんでもらえるようにした

コースメニューのおでんは通常より少しポーションを小さめにし、多くの種類の味を楽しんでもらえるようにした

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 香港銅鑼湾の「京おでん まさ」(Room 1103, 11/F, United Success Commercial Centre, 508 Jaffe Road, Causeway Bay to 19/F, L’Hart, 487-489 Lockhart Road, Causeway Bay TEL:2891 1530)が11月2日、移転オープンした。

店内の様子。以前と比べてカウンター席を増やした

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 これまでより広々とした店内は、コの字型のカウンターに林雅範料理長が立って店内を見渡せるような造りにした。席数は19席。以前と比べて全体の席数が大幅に増えたわけではないものの、コの字型カウンターにすることで、最大8組の客がカウンターを囲むことができるようになった。

 京都の老舗料亭「菊乃井」出身の林雅範料理長による京おでんの店はオープンから2年、口コミで人気を集め、9割以上が香港人客でにぎわっていた。夜遅くなると香港の料理人たちが通う様子もが見られる。だしは、オープン当初から使う、京都をはじめ全国の社寺や料理店に昆布やかつお節を納める「うね乃」のものを使うが、林さんの要望に合わせて2種類のだしをオーダーしている。一つはカツオのだしで、おでんに主に使い、もう一つはイワシ、サバ、ウルメイワシのブレンドで、濃い目のだしは親子丼などで使っている。

 アラカルトのメニューは以前と変化はないものの、移転を機にコース料理(800香港ドル)を設定。これまで黒板などで示していた一品料理はコースメニューの中に組み込んだ。季節の旬に合わせて内容は変化するが、11月はハタのかぶら蒸しで始まり、貝真丈、ブリ大根、白子ポン酢、エビ芋あられ揚げまでは一品料理が続く。その後、おでんに移り、大根、糸こんにゃく、九条ネギ、鶏つくね、タコ、だし巻、もち巾着、ロールキャベツと8種のおでんを提供する。〆は雑炊だが、親子丼やうどんに変更することも可能で、デザートには手作りのわらび餅を用意した。アラカルトのおでんは20種類。糸こんにゃく、たまご(同45香港ドル)や、九条ネギ、もち巾着(同60香港ドル)、シュウマイ、ロールキャベツ(同72香港ドル)などをメニューに並べる。

 おでんの中でもタコは「特に手間がかかっている」と言い、まず塩もみをしてぬめりを取り、一度冷凍する。その後、半解凍で繊維をつぶすことでタコが柔らかくなる。提供前日に完成するようにするため、調理に3日を要する。一番人気の大根も同じで、1日目は昆布と一緒に湯がき、さらしてえぐみを取り、2日かけてだしで炊いていく。大根は「お代わり」をする客も多い」というが、林料理長は「個人的なお薦めは厚揚げと糸こんにゃく。ぜひ試してもらいたい」と話す。

 アラカルトメニューに残した牛筋煮込み(108香港ドル)は、ショウガとネギで2~3回炊き、ドロドロなものではなく、あっさりと食べることができるようにしている。ほかにも「親子丼」(128香港ドル)や、うどん(108香港ドル)など〆のメニューでも、しっかり「だし」を味わうことができるようにしている。

 林料理長が移転に踏み切った最大の理由は、「予約が取りにくかったこと」に加え、「キッチンを広げたかった」という背景がある。もともと菊乃井での経歴は東京7年、京都8年の15年を通じ、焼き場、揚げ場、煮方などさまざまなポジションを担当してきた中で、「味を付けるところが好き」と、香港ではおでんを中心としたメニューを展開してきたが、今回の移転で「焼き場」なども作ることができ、今後状況を見ながら、「焼き物のメニューなども、もっと取り組んでいきたい」と話し、懐石出身の林料理長ならではの技を提供できる環境を整えた。

 ランチ(400香港ドル)にも初めて踏み切った。例えば、ハタのつばめ蒸し、貝煮麺、里芋あられ揚げ、おでん3種に親子丼とわらび餅で構成する。ディナーコースのメニューをコンパクトにしながらも、親子丼はアラカルトで提供するものと同じサイズで、「しっかりと満腹感ある」メニューに仕上げた。

 営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=18時~23時。水曜・祝日・第3木曜定休。

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