香港最大手の宝飾店「周生生(Chaw San San)」が現在、啓徳(Kai Tak)にある大型ショッピングモール「AIRSIDE」で創業90周年記念イベント「共生無盡(Timeless Resonance)」を開催している。
「情愛共生」ゾーンには、ドリンクを提供するカウンターバーも設置
周生生は1934年、広州で周芳普が金細工の店として会社を興したのが始まり。その後、約10年で香港、マカオ、広東省西部にある湛江市にまで販売網を広げた。周芳普は正妻と第2夫人との間に3人ずつの子どもを授かり、その後、経営を譲っていく。香港事業は1948年から旺角(Mong Kok)の上海街(Shanghai Street)に開設した店から本腰を入れた。順調な発展を続け、香港有数の宝飾品の店となり、2005年にはデビアスの子会社であるDTCとダイヤモンドの販売代理店の資格を取得。ダイヤモンドを直接、デビアスから購入することができる企業になっている。
2023年12月31日現在、店舗数は1000店強で、従業員は1万2000人を抱える。商品の60%は同社オリジナルで、職人たちが加工している。倉庫などはDX化を進め、在庫管理と商品発送業務をできるだけ自動化させているほか、オンラインでの販売にも力を入れている。
今回のイベントは、大規模なポップアップ形式の会場を設け、同社への理解を深めてもらい、ブランドとしての価値を高めるのが狙い。会場は5つのゾーンに分かれた大型ポップアップショップ形式で行い、多彩なデザインのジュエリーを展示するほか、同社の宝飾品のおける哲学や考え方などを紹介している。
ゾーンの1つ目は「情愛共生」。ジュエリーと愛は密接な関係があるが、「愛の大切さを呼びかける」エリアで、さらに「五味雜陳」「情感絮語」という2つのミニゾーンも設けた。カウンターバーを設け、愛や友情などをテーマにしたドリンクも提供する。香港話劇團(HKREP)のメンバーがバーテンダーの格好で愛の物語を語る演出も用意。「情感絮語」は、CDショップにある試聴機を設置し、ヘッドホン越しに、陳柏宇さん、林宥嘉さんら有名人の、ジュエリーにまつわる個人的な体験談を聞くことができる。
2つ目の「共生不息」は、過去の宝石箱などのパッケージ類の変遷の歴史などを紹介。近年は海水温の上昇によりサンゴが減っている中、同社はこれを抑える取り組みを2022年から行っている。その活動を紹介することに加え、このゾーンでは「香港管弦樂團(Hong Kong Philharmonic Orchestra)」のメンバーにより、母と娘の2代にわたるジュエリーの物語を生演奏する企画も用意する。
第3のゾーン「夢想共生」は、人生の節目や、ジュエリーに込められた願いを発見してもらうことをイメージしたゾーン。パステルカラーの壁が特徴で、そこにある小さな穴をのぞくと、それをイメージした宝飾品が見える仕掛け。
第4の「雅韻共生」は、「クラフトマンシップの素晴らしさ、中国文化の伝統」などがテーマ。2019年から同社は北京の紫禁城と提携して伝統文化と革新的なデザインを融合させたジュエリーを製作しており、それらを展示している。
最後の「隨心共生」は、審美眼がテーマ。俳優の余詩曼(カーメイン・シェー)さんらのセレブが考える美を紹介。日本人芸術家Keeenueさんのアート作品も展示する。
展示時間は11時~21時。入場無料。10月5日まで。