香港の茶室で茶道のデモンストレーション 日本と香港の文化交流

香港にたったひとつの本格的な日本式の茶室

香港にたったひとつの本格的な日本式の茶室

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 在香港日本国総領事館は10月29日、香港の城市大学内の「友香庵」で、香港政府幹部を招きお茶のデモンストレーションを実施した。

茶室には露地も作られ、室内ながらも特別な空間に

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 総領事館と地元コミュニティーが開催中の「日本秋祭 in 香港-魅力再発見-」のイベントの一つ。松田邦紀大使も出席し、香港政府側からは、張炳良(Anthony CHEUNG)運輸・房屋局長官および陳岳鵬(Ronald CHAN)政制・内地事務局副局長が茶道に触れる時間を過ごした。

 香港で本格的な茶室を備えるのは、同大学内にある同所のみで、大学と裏千家香港協会、双方の教育の場として活用するために2013年建設されたもの。8畳の畳スペースに加え、茶室に付随する庭園庭園「露地」のスペースを取り、飛び石や石燈籠なども置かれている。

 同茶室は、1997年に発足した茶道裏千家淡交会香港協会により管理・運営され、10数人の会員で始まった同協会も、現在会員数100人を越え、半分以上が香港ローカルの人で構成されるまでになったという。最初は日本のアニメや日本語、ファッションに興味を持っていた人がより深く日本の文化を学びたいと門をたたくケースが多いようだ。

 同協会を率いる齋藤宗幸さんは「ここには医者も弁護士も香港のスターでも通っている人がいるが、お稽古のときには誰もが準備のための掃除もする。この落ち着いた空間では人が本来持つ優しさや純粋さが出てくる」と言い、「ここで学ぶ所作などが自然に日常生活の所作にも表れてくる」と加える。香港ではあまり一般的ではない「人の稽古を見て学ぶ」ということも習慣づけられていくという。

 香港で茶道の教室を始めたことについて、齋藤さんは「息子がインターナショナルスクールの課題として披露するために自分の母親に頼み、道具を担いで日本から来てもらったことがきっかけだった」と振り返る。以来毎年道具が少しずつ増えていくため、もてなしの一環として自宅で活動をしてきたことが裏千家の海外支部の一つとして認められた。茶室を作る構想は以前からあったものの、変化の多い香港ではなかなか良い場所を確保することができず、3年前にやっと城市大学の構内に決めることができたという。

 日々の稽古に加え、季節ごとの茶事稽古、炉開きや初釜など節目となる大切な茶会、講師を招いて講習会を開催することもある。現在同茶室では木曜と土曜に稽古の時間を設け、1回の稽古は2~3時間程度、約100人が稽古にいそしむ。

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