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香港人にとっての夏季オリンピック 話題の水泳銅メダリストの来港決定か 

オリンピックに参加した香港代表選手

オリンピックに参加した香港代表選手

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 現在開催中のリオデジャネイロ・オリンピック――人口700万人の街でメダルラッシュとはいかない香港でも連日、大いに盛り上がりを見せている。

熱い戦いが繰り広げられた競泳会場の様子

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 夏季五輪は香港人にとっても関心事で、親日の香港では日本への応援の声も大きい。8月27日~29日には中国の金メダリスト来港が決定しているほか、個性的なキャラクターで人気が爆発した水泳の銅メダリスト傳園慧選手について、香港オリンピック委員会が中国オリンピック委員会に来港を要請すると見られる。

 2004年のアテネ五輪以来、五輪が終わると金メダリストが必ず香港を訪れ、デモンストレーションなどを実施。香港市民に世界最高のプレーを見せてきた。香港はどのスポーツにしても競技人口が少ない。香港の金メダリストは1996年のアトランタ五輪のヨット、ミストラル級の李麗珊選手のみ。MTRの奥運駅(Olympic Station)は李選手と、その後のパラリンピックで香港人が金メダルをとったことを記念して命名されたもの。李慧詩(Sarah Lee)選手は2012年のロンドン五輪の競輪で銅メダルを獲得。香港人としては2人目のメダリストとなった。李選手は13日に行われる競輪と15日のスプリントにもエントリーした。リオ五輪での開幕式で旗手を務めた水泳の歐鎧淳(Stephanie Au)選手は美人スイマーとしても知られ数多くの自由形と背泳ぎの香港記録を持つ。

 香港は社会環境のためプロ競技もサッカーと競馬がある程度。スポーツで生計を立てるのはかなり難しく、スポーツより勉学が優先される。一方、中国本土は国家レベルで選手を育成していることから、今やアメリカに続くスポーツ大国だ。雨傘革命以降、香港人は中国人とは違うというアイデンティティーをより明確にしているが、スポーツだけは同じ中華系で、しかも強いということから五輪期間だけは中国人に変身する。日本人がだめなら、日系ブラジル人でも応援しようと考えるような心理に近い。

 1996年のアトランタと2000年のシドニー五輪の飛び込み競技で計4つの金メダルを獲得した伏明霞選手は2002年、当時の香港政府の財政長官で次回の行政長官選に出馬するのではないかともいわれている梁錦松さんと結婚。2004年のアテネ、2008年の北京五輪で同じく飛び込みで4冠に輝いた美人選手としても知られる郭晶晶選手も2012年、現在、香港オリンピック委員会の副秘書長で実業家の霍啓剛(Kenneth Fok)さんと結婚したこともあり、政治とスポーツは別とはいえ、この点に関して香港人は中国人に親近感を持つ。

 今回のリオ五輪では、最初に香港の選手を香港メディアはフォローしつつ、次は当然、自らのルーツとなる中国本土の選手を追う。ユニークな発言をして中華圏ではすっかり有名になった競泳女子100メートル背泳ぎの銅メダリスト、傳国慧選手が香港メディアでもすっかり話題をさらっている。2015年の世界選手権では50メートル背泳ぎで金メダルという実力者だが、五輪では同競技が行われないため、やむを得ず100メートルにエントリー。本番では専門ではないにもかかわらず地力を発揮して銅メダルを獲得した。準決勝でも59秒のタイムを切ったことについて「大満足」と語り、決勝の抱負については「もう何もない」と笑わせた。そして決勝で金メダルに届かなかった理由について、「腕がもう少しながかったら、もう少し良い成績だった」と表情豊かに話した。この天真らんまんさが従来の中国選手のイメージとは一線を画す。表彰式など競技以外では常にメガネをかけているが、その姿にも人気が集まる。そのため香港側は、傳選手の香港招聘(しょうへい)をアプローチしている。

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