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香港文化博物館にロシアの至宝 ピョートル大帝の外套や十字架など

初代ロマノフ皇帝となったミハイル・フョードロヴィチ・ロマノフの肖像画「Portrait of Tsar Mikhail Fyodorovich」(提供画像)©Collection of Moscow Kremlin Museums

初代ロマノフ皇帝となったミハイル・フョードロヴィチ・ロマノフの肖像画「Portrait of Tsar Mikhail Fyodorovich」(提供画像)©Collection of Moscow Kremlin Museums

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 沙田の香港文化博物館(1 Man Lam Road, Sha Tin)で現在、16~18世紀のロシアの最高権力者らの所有物170点以上を展示する「Tsar of All Russia. Holiness and Splendour of Power」が開催されている。ロシアのクレムリン博物館との共催。

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 クレムリン博物館はその名の通り、モスクワのクレムリン内に所在するモスクワ観光の名所としても名高い博物館。クレムリンはロシア語で「城塞(じょうさい)」を意味し、モスクワのクレムリンは12世紀ごろに創建された。帝政時代にはロシア皇帝の居城として、現在はロシア連邦政府の諸機関が設置され、歴史的に国の中枢を担ってきた場所だ。クレムリン内には代々のツァーリ(ロシア皇帝)が戴冠式を行ってきたウスペンスキー大聖堂、ブラゴベシチェンスキー大聖堂、ツァーリの納骨堂のあるアルハンゲリスキー大聖堂、クレムリン大宮殿など、さまざまな時代に建造された大聖堂や宮殿があり、1990年には「モスクワのクレムリンと赤の広場」の名称で世界文化遺産にも登録されている。クレムリンには15世紀ごろからさまざまな工房ができ、17世紀の全盛期には数々の工芸品やイコン、武器などが作られていた。クレムリン博物館は、そうしたクレムリン内の建造物群の一つで、かつてロシア最大最古の武器工房だったことから「武器庫」の名でも知られている。同館には15世紀のイヴァン3世のころから約500年にわたって集められた、「クレムリンの奇跡」と呼ばれる皇帝ゆかりの至宝10万点が収められている。

 今回の展示では、クレムリン博物館が所有する「お宝」から「ツァーリ」の名の下、圧倒的な権力を誇った皇帝が治めた16~17世紀のロシア・ツァーリ国にスポットを当て、王笏(おうしゃく)、イコン、馬具、武器、 異国の外交官からの贈り物、女王の装飾品、王子の玩具などを公開している。戴冠式や戦などへの旅立ちの儀式で使われたこれらの品々からは、ツァーリとロシア正教の結び付きの強さが垣間見え、ツァーリの聖性を見せつけられる。加えて、宮廷の装飾品や玩具は当時の宮廷での暮らしを連想させる。

 注目の展示品は300年続いたロマノフ王朝の初代ロマノフ皇帝となったミハイル・フョードロヴィチ・ロマノフの18世紀に描かれた肖像画やイタリア製のサテン生地を使い、金糸、絹糸を使って刺しゅうが施された、ミハイル・ロマノフ皇帝の17世紀に作られた肩飾り、鏡幡甲、彼の守護聖人であった聖マイケル・ マレイノスのイコンに加え、ロシア帝国を建設し、ピョートル大帝の名で知られる皇帝ピョートル1世のダイアモンド、エメラルドなどがちりばめられた金の胸間十字架や外套(がいとう)カフタンなどだ。ロシア帝国の前身となった強力な国家ロシア・ツァーリ国を治めた代々のツァーリの息吹を感じられる「至宝」のコレクションの数々を展示する内容となっている。

 開館時間は10時~18時(土曜・日曜・祝日は19時まで)。火曜休館。入館料は、大人=10香港ドル、子ども=5香港ドル。8月29日まで。

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