香港政府は9月14日、香港居民と非香港居民が香港外で接種した新型コロナウイルス用のワクチンについて、希望者には接種した電子証明を発行すると発表した。香港内で行動する際にワクチン証明が必要となった場合に使える。

　香港は23日現在、累計感染者数が12,170人、死亡者は213人、回復者12,138人。新規感染者は輸入症例の2人だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が443万341人（65.8％）、2回目も終えた人は404万3,623人（60％）となっている。

　林鄭月娥（Carrie Lam）行政長官は9月8日の立法会で「ゼロコロナ」政策を継続して推進することを明らかにし、共存していく「ウィズコロナ」に変更することはないと発言している。しかし、水際対策を含めた防疫対策を厳しくしすぎると世界経済とのつながりの維持が難しくなり、フリーポートでもある香港の存在意義が失われかねない状況に陥る。そこで香港政府は、ゼロコロナ政策を進めつつもワクチンの接種度合いで行動条件を緩和していく「ワクチンバブル」政策を利用し、世界とのやり取りを少しずつ行いやすくすることにした。こうすることで徐々に経済を回していこうという意図がある。

　9月15日、既に香港に入り滞在している人と香港国際空港から入境する人を対象に登録の受け付けを始め、9月28日からは陸路で入境する人も登録可能となる。ワクチンは香港政府が認可しているファイザー、アストラゼネカ、科興控股生物技術（Sinovac Biotech／シノバック・バイオテック）社製のほか、世界中には数多くのワクチンが開発されており、合計13種類の新型コロナ用ワクチンを対象とする。

　申請方法は、空港・陸路での入境者は入境手続きの流れの中で登録をするかどうかを決める。申請者はウェブ「疫苗接種紀?資訊申報（Vaccination Information Declaration）」にアクセス（後日、登録することも可能）。必要事項を記入するとワクチンの接種の情報が登録されるほか、QRコードも送られ、それを新型コロナウイルスの感染者と接触した可能性を通知するスマートフォン向けのアプリ「安心出行（LeaveHomeSafe）」内に保存する。実際に、香港内の施設で使うケースが発生した場合はQRコードを使う。サイトで登録できない人は、政府が指定した一部の郵便局に置かれた申請書でも無料で登録できる。ただ、この証明は香港域外で接種したということで、香港内で接種したものとは区別され、QRコードによる電子証明は接種記録の原本という公的なものとして扱うことはできない。よって香港政府は、香港域外での接種証明の原本はしっかりと保存する必要があるとしている。