香港で創業59周年を迎えた老舗の潮州料理店「百樂潮州(Pak Loh Chiu Chow)」が4月9日、特別メニューの提供を始めた。香港の飲食業界で半世紀以上続く老舗は希少だが、その中で、1967年創業の潮州料理の名門として香港の食文化を支え続けてきた。同店は進●管理社が運営する。九龍の「圓方(エレメンツ)店」開業19周年、銅鑼灣「時代廣場(タイムズスクエア)店」12周年、東涌の「滿樂潮州」10周年と、各店舗も節目を迎えている。
59周年を記念した数量限定メニューのアワビと牡蠣の粥「五十九年情誼之味―鮑魚●仔粥」
潮州は中国広東省東部に位置する歴史文化名城で、香港から約360キロ離れている。香港には100万人以上の潮州ルーツの人々が暮らしているともいわれる。19世紀末、商機を求めて香港へ渡った潮州人たちがいた。当時、香港の中継貿易が繁栄する中で、彼らは極めて重要な役割を担った。1950年代からは香港への移住者がさらに増加。米穀や乾物の貿易にとどまらず、不動産業、貴金属・宝飾業、さらには飲食業においても多大な影響力を持つに至った。彼らは「潮州商会」「潮州同郷会」などの組織を築き、互助の精神でコミュニティーを形成。香港社会において経済的・文化的な影響力を持ち続け、商業や飲食業を中心に強いコミュニティーを築いてきた。潮州料理は乾物や魚介を生かした滋味深い料理が特徴で、煮込みや蒸し料理、独特のつけダレ文化が発展した。
潮州料理はそのコミュニティーの象徴でもあり、創業者から3代にわたり受け継がれる「人情味」と「匠心」で、香港の食卓に潮州文化を根付かせてきた。現在、3代目のAlexaさん、Jonathanさん、Melissaさんがブランドを率いる。彼らは祖父から「顧客の名前を覚え、毎回温かく迎えることが長続きの秘訣(ひけつ)」と教えられたという。料理の味だけでなく、客が「帰ってきた」と感じられる空間を守ることが59年続く秘訣だと教えられた。
「潮州料理の精髄を凝縮させた」という新メニューは、アワビと新鮮なカキを炊き込んだ粥(かゆ)「五十九年情誼之味-鮑魚●仔粥」(59香港ドル)が象徴し、「潮州料理の素朴さとぜいたくさを併せ持つ一品として展開する」という。
潮州直送の大型のガチョウ「獅頭鵝」を用いたしょうゆと香辛料を煮込んだ「滷水」で仕上げた潮州の代表的な煮込み料理「金馬迎春套餐」は、半世紀にわたり継ぎ足された秘伝の滷水が深い味わいを生み出す。
潮州や広東で縁起物とされる海藻「髮菜」とエビのすり身「蝦膠」を巻き上げ、黄金色に揚げた縁起の良い料理で、外は香ばしく、中は海鮮のうまみが広がる「龍鬚金甲發財巻」のほか、潮州料理らしい海鮮のうまみを生かした一品で、新鮮な蟹肉をふんだんに使い、春雨にそのうまみを余すことなく吸い込ませ、胡椒の香りが全体を引き締める土鍋料理「胡椒鮮蟹肉●粉絲●」なども用意した。
デザートには、滋養を意識した甘味で、杏仁茶に高級食材の燕窩(ツバメの巣)を加えた「潮州料理の繊細さを締めくくる」一品も。
百樂潮州酒家限定メニューは、時代廣場店・圓方店で提供し、潮州直送の獅頭鵝や鮑魚、蟹肉など高級食材をふんだんに使用した豪華フルコース「金馬迎春套餐」で、オリジナル価格は 1人=1,380香港ドルを998香港ドル(2人から注文可)とした。周年記念にふさわしい定番料理をそろえたコース「五十九周年套餐」は、伝統的な冷たい潮州料理を示す「打冷」やコラーゲン豊富な花膠(魚の浮き袋)を使った滋養スープなどを含み、オリジナル価格1人=738香港ドルを590香港ドル(2人から注文可)も用意する。
東涌「滿樂潮州」では、よりカジュアルに楽しめる「龍馬精神套餐」(1人=498香港ドル)を298香港ドル(2人から注文可)で展開し、家庭的な潮州料理をリーズナブルに楽しむことができる機会とする。
●=さんずいに豊、●=虫へんに豪、●=火へんに局、●=保かんむりに火。