香港で高い人気を誇る草間彌生さんの代表作「南瓜(カボチャ)」のオブジェが6月6日、啓徳の大型複合施設「The Twins(雙子匯)」(Open Area, Tower I, Kai Tak, Kowloon)に設置された。利福國際集團(Lifestyle International Holdings Ltd.)が手がける同プロジェクトの新たなランドマークとして、高さ3メートルの緑色のカボチャが登場し、香港初の屋外常設作品として一般公開が始まった。
草間さんは、絵画、彫刻、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど多岐にわたる創作活動を通じて、現代美術の視覚言語を大きく変革してきた存在。草間さんにとって「パンプキン」は単なるモチーフではなく、幼少期の孤独や幻覚体験を昇華させた精神的なよりどころであり、癒やしと再生の象徴。今回設置した作品は、鮮やかなエメラルドグリーンの表面に黒い水玉模様が施され、「ユーモラスでありながら荘厳さを兼ね備えた造形美」を放つ。陽光差し込む広場に置かれたその姿は、「日常を非日常へと変える力を持ち、訪れる人々に偶然の出会いと感動をもたらすように」と願いを込めた。
The Twinsは、九龍東最大級のリテール&ライフスタイル拠点として開発された2棟構成の複合施設。第1期のタワーIには百貨店「崇光百貨(SOGO Kai Tak)」が入り、和のテキスタイル美を取り入れたぬくもりある空間を演出する。一方、第2期のタワーII「SNDO」は、工業的な素材感と大胆な造形を特徴とし、モダンな感性を体現している。両者は「Different Together(異なるものが共にある)」という理念の下、「伝統と現代が調和する建築美を示したもの」だという。
利福國際集團は、商業施設にとどまらず、文化的サロンとしての役割を果たすことを目指してきた。昨年は19世紀から20世紀にかけてのチベット仏教における仏画の掛け軸で、布や絹に描かれた宗教的絵画「タンカ」37点を無料公開し、文化遺産の保護と共有に尽力した。今年は現代美術に焦点を当て、草間さんをはじめとする世界的アーティストの作品を次々と導入する計画がある。年内には、イギリス人彫刻家アントニー・ゴームリーさんの「BIG SPLICE」や、日本の安藤泉さんによる「A Tree & A Pair Of Horses」などの公開も予定し、香港における現代美術の新たな拠点を目指す。
草間さんの「パンプキン」は、遊び心と精神性を併せ持つ作品として、「平和や癒やし、生命の強靭(きょうじん)さを象徴する」と言われているが、屋外常設展示とすることで、ギャラリーの静謐(せいひつ)な空間から街の広場へとアートが飛び出し、日常生活の中で香港市民が芸術と触れ合える機会を提供する。同集團は「芸術と文化は日常を照らし、心を潤し、静かな驚きを織り込む力を持つ」とし、「商業と文化の融合による新しい都市体験を描いていく」とする。