香港トラムウェイズが4月14日、公式モバイルアプリ「HK Tramways」を公開した。1904年の創業以来、香港の街並みに溶け込み「叮叮(ディンディン)」の愛称で親しまれてきた路面電車が、デジタル技術を取り入れることで乗客の利便性を向上させる。今回のアプリは、リアルタイム到着情報、運行通知、観光向け「TramOramic Tour」の拡充という3つの主要機能を備え、通勤客から観光客まで幅広い利用者層に新たな価値を提供する。
香港の路面電車は1904年の創業以来、現在では165両の車両を運行している。世界最大規模の2階建て路面電車のフリートで、毎日約15万人が利用する。トラムは香港で製造、整備されているが、1台のみ1949年製で、当時の内装をそのまま維持した現役で走るクラシック車両「120番」も走行している。行き先表示もアナログかつ、座席や窓枠も木を使ったもので、「このトラムを見られた日はラッキー」と思う香港市民も多い。ほかにも、アンティーク車両や観光専用の「TramOramic Tour」、貸し切りイベント向けの特別車両「Tram No.18」など、多様なサービスを展開している。
アプリ公開の第1の柱は「リアルタイム到着情報」で、アプリでは各停留所における次の3本の電車の到着予測と行き先を表示する。約400カ所に設置されたRFIDタグと車両搭載のリーダーが位置情報を収集し、過去の運行データと組み合わせて精度を高めている。これにより、従来は不確実だった待ち時間が明確になり、乗客は効率的に移動計画を立てられる。
第2の柱は「運行通知」。交通事情や事故、悪天候による運行調整、さらには祝祭期間の延長運行などをリアルタイムで知らせる。これまで現場でしか把握できなかった情報が即座に手元に届くことで、利用者は安心して行動できるように配慮した。
第3の柱は観光客に向けた「TramOramic Tour」の拡充。アプリから予約が可能で、乗車後は車内Wi-Fiに接続すると最大16言語対応の音声ガイドが流れる。ガイドは電車の位置に連動して再生され、地図画面には沿線の観光スポット情報が表示される仕組み。観光客は香港の街並みをより深く体験でき、観光資源としての路面電車の魅力を一層高めるという。
香港電車のマネジングディレクター、ポール・ティルヴォーデイ(Paul Tirvaudey)さんは「到着予測の精度向上と分かりやすいインターフェースに注力した。公式アプリの導入はデジタル化への重要な一歩であり、通勤にも観光にも信頼性と利便性を提供することで、より多くの人々に電車を選んでもらいたい」と話す。
今後は停留所にQRコードを設置し、乗客がスマートフォンで読み取るだけでその停留所の到着情報を確認できる仕組みを導入する予定。利用者からのフィードバックを収集し、予測精度や機能改善を継続的に進める方針だという。