香港国際空港(HKIA)が4月14日、2025年の年間貨物取扱量が507万トンに達し、世界最大の貨物空港として再び首位に返り咲いたと発表した。国際空港評議会(ACI)が発表した最新データによるもので、2010年以来通算15回目の首位獲得となる。
空港管理局(AAHK)のCEOヴィヴィアン・チョン(張李佳蕙)さんは「世界最大の貨物空港としての地位を維持できたことは大きな誇り。航空貨物業界の協力と政府部門の支援により、高付加価値貨物や越境輸送、ECフルフィルメントなど成長分野で能力を拡充し続けている。厳しい競争や世界経済の不確実性に直面する中、競争力をさらに高め、新たなビジネスの地平を切り開いていきたい」とコメントする。
HKIAでは貨物機能強化のための新たな取り組みが進んでいる。米国大手物流企業UPSは今年3月に新たなハブの建設を開始。完成予定は2028年で、年間100万トン近い貨物処理能力を備える見込み。UPSは世界的なEC需要の急増に対応するため、香港をアジア太平洋地域の戦略的拠点と位置づけており、新ハブは国際物流ネットワークの中核を担うことになる。冷蔵・冷凍設備や自動仕分けシステムを備え、医薬品や高付加価値商品の取り扱いにも対応する計画で、香港の航空貨物市場における競争力を一層高めることが期待されている。
香港と広東省当局が共同で設立した「Air-Land Fresh Lane」は、通関手続きを効率化し、HKIAに到着した高級生鮮品を数時間以内に大湾区主要都市へ届ける仕組みを実現した。従来は複雑な通関手続きにより時間を要していたが、この新制度により、香港到着後すぐに陸路で広東省各都市へ輸送できるようになった。例えばヨーロッパ産の高級チーズや、現在は輸入停止により本土へは流通していない日本産ホタテなど、「鮮度が命」の商品を香港経由で迅速に広東省へ届けることがスキームとして可能となり、香港の「国際的な生鮮品ゲートウェー」としての役割が強化されている。
加えて、東莞に設置された「HKIA東莞物流パーク(香港國際機場東莞物流園)」では、試験運用開始以来、総額570億元を超える貨物を取り扱っており、現在建設中の第1期常設施設が完成すれば、年間処理能力は100万トンを超える見込み。これにより、香港と大湾区の物流連携がさらに強化され、地域全体の経済活動を支える基盤が整いつつある。
物理的な拡張に加え、AAHKは航空貨物サプライチェーンのデジタル化を推進している。受賞歴のある「HKIA Cargo Data Platform」や「HKIA Cargo Connect」といったワンストップ型デジタルプラットフォームは業界間の連携を促進し、効率性の向上と付加価値サービスの提供を可能にしている。これにより、相互接続されたデジタルエコシステムが構築され、新たなビジネス機会や協業の可能性も広がっている。
香港国際空港は、アジアのハブとして長年にわたり世界の物流を支えてきた。今回の首位獲得は、単なる貨物量の増加にとどまらず、地域経済の活性化や国際貿易の円滑化に大きく寄与している。特に高付加価値貨物や生鮮品輸送における強みは、香港が持つ地理的優位性と制度的柔軟性を最大限に生かした成果といえる。
HKIAは今後も、物理的拡張とデジタル革新を両輪に、世界の航空貨物市場での競争力を維持・強化し続ける方針とし、国際物流の中心地としての役割を果たしながら、香港経済の持続的成長に貢献していく姿勢を示す。