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香港電灯、ラマ島風力発電所を閉鎖 再生可能エネルギーの象徴、使命終える

ラマ風采発電所

ラマ風采発電所

 香港電灯(HK Electric)が5月11日、ラマ島の「南●風采発電所」を閉鎖した。2006年に完成した同施設は香港初の商業規模風力発電所として注目を集め、再生可能エネルギーの象徴的存在だったが、設備耐用年数20年を迎え「役目を終えた」とし、安全性とリスクを考慮した措置として幕を下ろした。閉鎖は、香港における再生可能エネルギー拡大の難しさを改めて浮き彫りにするだけでなく、電気料金や供給安定性に直結する課題であり、市民や企業の関心も高まっている。

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 香港の電力供給は依然として火力発電に大きく依存し、2025年政府発表のデータによると、再生可能エネルギー比率は約1.5%しかない。一方、広東省大亜湾原子力発電所からの供給が全体の約25%を占め、安定供給の柱となっている。今回の閉鎖は、香港が持続可能な電力構造へ移行する上で直面する課題を象徴する出来事となった。

 南●風采発電所は、直径50メートルのブレードを備えた高さ46メートルの風力発電機を設置し、設備容量は800キロワット。年間平均で約100万キロワット時の電力を生産し、約800トンの二酸化炭素排出削減に寄与した。稼働20年間で累計発電量は1600万キロワット時を超え、約1300万キログラムの二酸化炭素削減効果を上げ、樹木約56万本が1年間に吸収する量に匹敵する成果を残した。敷地内には展示スペースも設け、市民の再生可能エネルギー理解促進にも貢献した。

 もともと建設地選定に当たっては、風力資源、送電網との距離、交通利便性、自然環境や景観への影響などを総合的に考慮。平均風速毎秒5.5メートルの大嶺丘陵地帯が適地とされ、渡り鳥の飛来ルートにも当たらないことから環境負荷は限定的と判断した。地元住民や環境団体との協議を経て建設が進められ、航空路の高度制限も順守し、タワーの高さは海抜163メートルに抑えた。こうした慎重な計画は、香港における再生可能エネルギー事業の先駆的事例として評価されてきた。

 香港政府は近年、再生可能エネルギー拡大に向け太陽光発電や廃棄物発電を推進している。石壁水塘や船湾淡水湖などに浮体式太陽光発電システムを設置し、昂船洲下水処理場では薄膜型太陽光発電を導入する。佐敦谷廃棄物処分場でも太陽光発電システムを稼働させ、遊休地の活用を進めている。さらに、都市ごみを燃焼して発電する総合廃棄物管理施設「I・PARK1」の試験運転を始め、年間で10万世帯分の電力供給が可能になる見込みとする。

 政府は2035年までに石炭火力発電を停止し、中国本土からのゼロカーボン電力供給比率を現在の25%から60~70%へ引き上げる計画を掲げる。環境・生態局の謝展寰局長は「大亜湾原発からの供給を25%から35%に拡大し、将軍澳に新送電ルートを整備することで目標達成を目指す」と話す。

 ●=Y

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