アルゼンチンステーキをメインに提供するステーキハウス「Don Pedro」(Shop E & Shop F, G/F, Tung Cheung Building, 1 Second Street, Sai Ying Pun, Hong Kong TEL 7075 8631)が5月20日、香港島の西側、西營盤(Sai Ying Pun)の第二街(Second Street)にソフトオープンした。西營盤エリアは住宅街でもあるが、その昔はイギリス軍が上陸して軍営を築いたエリアでもあり、歴史的建築物も多く、その中に小規模なレストランも多く立ち並ぶ。
創業者は香港のステーキシーンをけん引してきたクリストファー・マーク(Chris Mark)さんと、若きパートナーのヴィドゥル・ヤダヴ(Vidur Yadav.)さん。アルゼンチンの庶民的な食堂・居酒屋のことを指す「ボデゴン」や炭火焼きグリル店を指す「パリージャ」の文化を背景に、肩肘張らない雰囲気でシェア料理を中心に構成する。
マークさんは以前アルゼンチン滞在中に肉文化と街のヨーロッパ的魅力にほれ込み、「ステーキとワインを分かち合うことこそ究極のホスピタリティー」と話す。その思いを香港に持ち帰り、自身も住む西營盤エリアに理想の店を描いて開店した。「成功とはミシュラン星ではなく、1年後に常連客が butcher(精肉師)の名前を覚え、好みのワインが注文前に用意されていること」と強調する。
内装は「精肉店×ワインバー」をテーマに、白タイルとキャンドルの明かりで温かみを演出する。35席の限られた空間で、スタッフは精肉師のコートをまとい、店内にはスペイン語カバーのポップソングを流し、隣席の客とも自然に打ち解けられる雰囲気を作った。
店の要となる肉のプログラムを考えるのは、かつて同じ場所で精肉店を営んでいたセス・マッケンジー(Seth McKenzie)さん。その目利きとカット技術によって「牛肉を最高の状態で提供する」ことを目指す。仕入れ先はブエノスアイレスの「Parrilla Don Julio」と同じ牧場で、店内の熟成庫では、12オンスのリブアイを75日、8オンスのテンダーロインを40日かけて熟成させ、凝縮したうまみを引き出す。
調理はスペイン伝統の厚みのある平たい鉄板「プランチャ」を使い、鉄板を高温に熱して食材を焼く。じか火ではなく鉄板の熱で焼き上げる調理法は、表面は香ばしく、中はジューシーに仕上がるという。
ステーキを中心に据えつつも、前菜やサイドもアルゼンチンの食文化を映す。例えば、香港ローカルの黒豚を使ったテリーヌにアプリコットとピスタチオを合わせた「Hong Kong black pork terrine」(120香港ドル)は、塩・こしょう・マスタード・ケチャップなど、トロリーで運ぶ自家製の薬味「コンディメント」と共に提供する。黒こしょうとフェンネル花粉で風味付けした豚バラの燻製(くんせい)「Ventreche」(110香港ドル)も注目メニューに並べる。
定番のチョリソー「Chorizo flambe」(95香港ドル)や手作りのひき肉やタマネギで炒めた具を包んだパイ「Beef empanadas」(90香港ドル)は、アルゼンチン家庭の味を再現した。さらに牛骨から抽出した澄んだうまみを楽しむメニュー「Bone broth tea」(80香港ドル)は肉文化を象徴する。
サイドには、スペイン風ポテト「Bravas potatoes」(85香港ドル)、香ばしく焼き上げた「Oyster mushrooms」(90香港ドル)、「Asparagus」(95香港ドル)などをそろえた。
デザートの主役は店名にもなった「Don Pedro」(110香港ドル)。毎日作りたてのジェラートにクルミとウイスキーをかけ、熱々のチュロスと共に楽しむデザートで、創業者のヤダヴさんの愛犬の名前でもあり、個人的な思いを込めた。
ワインはアルゼンチンワインを代表するブドウの品種「マルベック」に特化する。伝統的なスタイルから新進気鋭のブティックワイナリーまで幅広くそろえ、「飲みやすさとテロワールへの敬意を両立させた」という。特に「Malbec Flight」(280香港ドル)は、ロゼから、ピノ・ノワールとのブレンド、クラシックな骨太マルベックまで多彩な表現を楽しむことができる。
営業時間は17時~23時。月曜定休(祝日の場合は営業)。