香港の老舗上海・淮揚料理店「雪園壹號(Snow Garden)」(B1, South Pacific Hotel, 23 Morrison Hill Road, Wan Chai, Hong Kong TEL 3897 9618)が5月16日、週末限定でブランチ「名人飯堂老師傅手工菜 Brunch」の提供をを始めた。
灣仔と銅鑼湾の間にあり、日本人宿泊客の利用も多い「南洋酒店」の地下に店を構える同店は、創業から60年以上にわたり淮揚料理の伝統を守り続けてきたが、今回は10品を一度に楽しめる特別メニューを用意した。これまでは大人数向けの取り分けることが前提のメニューが多かったが、時代に合わせてカジュアルに楽しめるメニューを用意した。価格は1人388香港ドル(要予約)。
「雪園」は1960年代に揚州出身の名厨・于久錫シェフが香港で創業し、以来、半世紀以上にわたり香港で上海・淮揚料理を広めてきた存在。現在もベテラン料理人が厨房を支え、手間を惜しまない調理法で伝統の味を守り続けている。今回のブランチは、金華ハムや南アフリカのアワビなどの素材を用い、職人技を駆使した料理をそろえた。40年以上働くシェフもおり、彼らにとって料理を個別に分け、各料理に適したタイミングで提供することは大きなチャレンジとなっているという。
前菜は4種の盛り合わせで、幾重にも折り込んだ生地を低温と高温で二度揚げし、香ばしい皮に手切りの大根を包んだ「蘿蔔絲酥餅」、自家製の燻料で香りを閉じ込めた鴨卵の半熟黄身がとろける「脆香煙燻流心蛋」、豚皮をじっくり煮込み、透明感あるゼリー状に仕上げた「鎮江肴肉」、酒の香りをほのかに利かせ、アワビ本来のうまみを生かした「酒糟冷泡小鮑魚」を用意した。
「脆香煙燻流心蛋」は長年の看板料理。鴨卵を用いるのは、鶏卵よりも白身が弾力に富み、複数の調理工程に適しているためだという。卵はまずゆでて、冷水と氷水で急冷し、その後、独自の燻料で焼き上げていく。外層は濃い色合いに変わり、黄身は鮮やかなだいだい色になり、濃厚で滑らかな半熟状態を保つ。燻料には茶葉・砂糖・小麦粉などを組み合わせ、長年の経験に基づき火加減と時間を調整することで、香りが白身と黄身にゆっくりと浸透するという。
スープは2種類を用意し、金華火腿と老鶏で澄んだうまみを引き出す「竹笙雲呑清鶏湯」と、魚の浮袋「花膠」と魚の唇を感想させた「魚唇」を加え、酸味とこしょうの辛みを調和させた「花膠魚唇酸辣湯」から選ぶ。
温かいメニューは4品で、ハイライトメニューの一つは、塩漬けにしたアヒルの卵の黄身で作る黄金ソースを絡めた「黄金蝦球蝦仁拌鍋巴」。多くの店では冷凍塩卵黄を使い、大量の油で炒めて「黄金醤」を作るが、同店では新鮮な「塩卵黄」を店内で手作業で取り出し、油に頼らず火加減を調整して「黄金醤」を仕上げる。ソースは細やかで均一にエビを包む。既製のライスクラッカーではなく店内で炊飯時にできた米を乾燥させ、「鍋巴(おこげ)」を手作りして使う。油で揚げて作るため、形はふぞろいながら自然な米の香りも保ち、エビと合わせることで独特の風味と食感を生み出す。
「砂鍋獅子頭」は、豚肉を赤身6割・脂身4割の比率で調合し、シェフが手作業でさすり上げることで「鬆而不散(ふんわりして崩れない)」肉団子を作る。まず軽く油で揚げて形を整え、その後、ショウガ・ネギ・酒・しょうゆダレと一緒に煮込む。火加減と手際が重要で、少しでも油断すると崩れてしまうため経験がものを言う。ソースは自家製の上湯(シャンタン)と白湯(パイタン)をベースに、数種類のしょうゆを組み合わせ仕上げている。箸で持ち上げても形を保ち、口に入れると柔らかく繊細で肉汁を感じる、伝統的な淮揚料理の代表格のメニュー。
ほかにも、伝統野菜「津白菜」を丁寧に煮込み、金華火腿で風味を添えた「金華爛糊肉絲」や、同店が独自に創作した鍋貼で、中国浙江省紹興などで作られる保存野菜「梅干菜」入りの中華まんじゅう「肉包」から着想を得た焼きギョーザ「梅干菜鍋貼」などを用意した。
デザートには、卵白を泡立てて包んだ紅豆沙とバナナを揚げた「高力豆沙」を提供する。追加料金58香港ドルで「小籠包」や「嫩鶏●麺」も提供する。
ブランチの提供は祝日を除く金曜~日曜の12時~15時30分。営業時間は、ランチ=11時~14時30分、ディナー=18時~22時。
●=火へんに畏。