邦楽バンド「Omoinotake(オモイノタケ)」が10月9日、香港九龍半島にある黄埔「TIDES」で初の香港公演を行った。同バンドは、島根出身の3人が2012年に結成。ボーカルとキーボードの藤井怜央(レオ)さん、ベースの福島智朗(エモアキ)さん、ドラムの冨田洋之進(ドラゲ)さんの3人から成るバンドで、もともとは東京・渋谷を中心にストリートライブを重ねながら活動の幅を広げてきた。現在では主要な音楽イベントやテレビ番組への出演に加え、ドラマ主題歌を担当した実績もあり、その活動を通じて香港にもファン層が広がったことが今回の公演につながった。
今回のワンマンツアーは「Memorabilia」と題し、9月27日の新潟公演を皮切りにスタートしている。全14公演・14都市を巡るツアーとして開催。日本国内公演に加えてアジアでの公演もあり、香港の後も直後に台北、ほかにも来週はソウルでの開催が決定している。
香港では、ドラマ「Eye Love You」主題歌「幾億光年」や「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」オープニング曲「産声」と実写映画テーマソング「心音」などが人気を博した。特に「幾億光年」は香港でもストリーミング等も通じて支持を得た。
会場となるTIDESは九龍・黄埔に位置し、2025年に開業した中規模ライブ会場。当日は2階席も含めファンたちが会場を埋めた。
香港のSNS上では楽曲をきっかけに関心が高まり、「継続して聴き込む」「過去の曲も掘り下げる」などの投稿が見られる。特に、旋律や歌詞の情緒を評価する声が多く、繊細で叙情的な作風が「聴き手の感情に寄り添う音楽」として受け止められている。併せて、一部楽曲には「ロック感」があったり、「どこかレトロな質感」を感じたりするなどの指摘もあった。
公演中、毎曲の終わりには、レオさんの「多謝(ドーチェー)」という広東語の声がマイクを通じて会場に響き渡った。今回の公演ではMCに通訳を用意しなかったが、それがシンプルなやり取りを生み、アットホームな空気を生み出した。3人は練習を重ねた広東語で観客に呼びかけ、反応に耳を傾けながら笑顔で応じる場面も見られた。「日本から遠くにいるあなたたちに私たちの音楽が届いたことがうれしく、海を越えて超フレンドリーな人たちの前でできてうれしい。忘れないからね」と呼びかけるシーンも。
「モラトリアム」「心音」は海外公演用に国内セットリストをアレンジして披露した。特に「モラトリアム」では、レオさんに集中的に当てられた白い照明が観客の視線を引き寄せ、透き通る高音と楽曲の世界観を映し出す演出で表現した。
アンコールは2曲で、香港での1曲目は会場のリクエストにより「惑星」を披露。その後、会場の熱気が最高潮を迎えたアンコールの「幾億光年」では、歌う前にレオさんが「最後はみんなで一齊唱(ヤッチャイチョン)!!大きな声で一齊唱!」との呼びかけに応えるように大合唱で幕を閉じた。