近年店舗を拡大している香港ローカル発のベーカリーブランド「森林麺包(The Forest Bakery)」が10月23日、神戸のベーカリー「Boulangerie mille-ge(ブーランジュリー・ミルジュ)」とのコラボレーション商品6種の販売を始めた。期間限定商品として、ELEMENTS(圓方)のポップアップストアと觀塘の「The Angle」で先行販売し、10月以降、他店舗でも順次販売していく。
今回の企画は、森林麺包が新たに立ち上げた「Bread without Borders」の第1弾。同プロジェクトは、パンを通じて香港と海外の職人を結び、異なる食文化や製法、食材を交流させることを目的とする。単に海外の商品を香港へ持ち込むのではなく、双方の職人が互いの街を訪れ、食文化や市場、消費者の嗜好(しこう)を理解した上で新たな商品作りを行う点を特徴とする。
森林麺包のメンバーは今年8月に神戸を訪れ、現地のパン文化を視察。今回、その交流の一環として、神戸の人気ベーカリー「Boulangerie mille-ge」店主の榎友寿さんとチームが初来港し、共同開発した。
芦屋エリアを拠点とする同ベーカリーは、素材選びと繊細な味づくりで知られ。榎さんは、「京都の迎賓館」として知られる長楽館での勤務を経て、阪神百貨店のベーカリー企画監修も手がけた。レストランサービスやパンのセレクト、他店とのコラボレーション経験を生かし、日本各地の食文化や食材を取り入れた商品開発を行っている。今回の香港プロジェクトでも、日本の技術と香港人の嗜好を融合させた商品作りに取り組んだ。
コラボ商品は全部で6種類。神戸店で人気を集める3商品に加え、香港限定の新商品3種類を用意した。セット販売で、価格は1箱218香港ドル。
神戸店で一番人気だという「忌廉吉士包 Cream Pan(クリームパン)」は、毎朝炊き上げるカスタードを使い、甘さを抑えた滑らかなクリームを特徴とする。生地にはもちもちでしっとりしたパンを作ることができる「湯種製法」を採用し、しっとりとした口当たりに仕上げた。
昨年 11月以降、累計1万個以上を販売したという看板商品は、スリランカ産有機シナモンと自家製マダガスカル産バニラクリームを組み合わせた「肉桂巻(シナモンロール)」。スウェーデンの伝統的なシナモンロール「カネルブッレ」から着想を得た特徴的な編み込みデザインを採用し、一つ一つにシリアルナンバーを付けた。
京都・宇治の老舗茶舗「森半」の焙(ほう)じ茶を使った商品も用意。焙じ茶の香ばしさにユズの爽やかな香り、小豆やサツマイモの甘みを組み合わせた「焙茶法棍(ほうじ茶バゲット)」を販売する。
香港限定商品では、日本の明太フランスを再解釈した商品が目を引く。福岡の老舗メーカー「やまや」の明太子を使い、ユズこしょうを加えたソースを炙(あぶ)って仕上げた「明太子法棍(明太子フランス)」を用意した。
日本式のカレーをテーマに開発した商品もある。北海道産小麦を使ったチャバタ生地に、神戸店秘伝のカレーを合わせた「咖●Ciabatta(カレーチャバタ)」は、ジャガイモやトマト、日本式カレールーに加え、ガラムマサラやチーズを組み合わせることで、甘みとスパイス感の両立を図ったという。
さらに香港らしさを表現した商品として、カニの身の食感や風味を再現した中華料理の「賽螃蟹」をイメージしたサンドイッチも開発。卵白と貝柱、カニ肉を炒め、黒酢で香りを加えた具材をチャバタで挟んだ「賽螃蟹三文治」として販売する。香港の食文化と日本の製パン技術を融合させた象徴的な商品だという。
今回のコラボでは、日本、カナダ、フランスなど10種類以上の小麦粉を使い分け、それぞれのパンに最適な配合を追求した。バゲット生地には石臼びきの小麦粉を加え、「生地そのものにも豊かな風味と奥行きを持たせ、じっくり味わえる仕上がりにした」という。クリームパンやシナモンロールなどの菓子パンには、北海道産小麦「春よ恋」を使用。同品種は北海道の名品種「ハルユタカ」の系譜を受け継ぐ小麦で、「小麦そのものが持つ自然な甘みと豊かな麦の香りが特徴」だと言い、砂糖に頼らない甘みを生み出し、「クリームパンやシナモンロールに繊細な風味を加えている」という。
一方、チャバタには北海道産小麦「北の香」を採用。吸水性の高さと「ミルクのような甘み」を生かし、湯種製法と組み合わせることで、しっとりとした食感と弾力のある口当たりを実現したという。
森林麺包は「Bread without Bordersは神戸が最初の訪問先。今後はパンだけでなく、コーヒーやスイーツなど他分野の職人とも協業し、食文化交流の輪を広げていきたい」としている。
営業時間は店によって異なるが、圓方 ELEMENTS=11時~20時、觀塘 The Angle=8時30分~19時30分。
●=口へんにたれに里