「橋」というモチーフを通じて、デザインが人と人、産業と社会、伝統と革新をつなぐ力を多角的にその可能性を探る企画展「Design to Bridge」が9月11日、深水●・通洲街の香港デザインセンター(HKDC)「DX design hub」1階の「The Gallery」で始まった。文化体育及旅遊局傘下の文化創意産業発展署(CCIDA)が主要スポンサーを務める。
若手デザイナーやファッション人材の育成拠点として機能している「DX design hub」。展示スペースや小売りエリアを備え、地域社会との交流やクリエーティブ・ツーリズムを促進。香港デザインセンターの主要プロジェクト拠点として、BODW(Business of Design Week)やDFAアワードなどと並び、香港デザインセンターが香港を「東西文化の交差点」として発信する役割を担う。
「Connect Design」の理念に基づき、「DX design hub」が展開する、風土文化に題材としたキャンペーン「Great Design Lives Here」の一環として企画された同展は、香港デザインセンターが多様なクリエーターの声を結び付け、分野横断的な交流や協働を促す場となっている。展示を通じて香港と中国本土、さらには国際的なデザインコミュニティーを橋渡しし、創造産業の発展を後押しすることを目指す。
キュレーションを担当したのは、デザインスタジオ「Wholly Wholly」創設者のウェストリー・ウォン(Westley Wong)さん。従来の「視覚中心のデザイン観」を超え、触覚・嗅覚・聴覚を取り入れた各領域の会社や組織とのコラボレーション作品群を通じて、デザインが持つ多層的な価値を提示する。来場者は実際に手で作品に触れ、マルチセンサリーで抽象的な概念を物理で感じる。
五感に訴える総合的なデザイン体験を追求する「Ink & The City」は1930年代から街角に息づく書道文化を再解釈。都市の看板や筆文字を素材に、音や触感を組み合わせて進化する書文化の姿を描き出す。未来のモビリティーをテーマにした展示では、中国初の国立美術教育機関である「中央美術学院」(CAFA)は、40以上の自動車メーカーや大学と協働し、スマートシティーや次世代車両デザインの可能性を探るプロジェクトを展示。未来の移動体験をデザインの視点から提示する。
触わることに焦点を当てた展示では、素材が持つ記憶や物語を来場者に直接体験させる。「Noodo Lab」は廃材を3Dプリント技術で再生し、持続可能性と美を融合させた。デザインスタジオの「Concretology」は合鋼廠の「合豐鑄鐵」と協働し、香港のマンホールふたを現代的に再解釈。都市のインフラに新たなデザイン的価値を吹き込む。デザインスタジオ「MOSOSISI」 はコンクリートジャングルと呼ばれる香港を代表する名建築・街並み・学校の構造をコンクリート製ミニチュアで、都市建築の記憶を触感として保存し、来場者に「都市の記憶」を手で感じさせる仕掛けを用意した。
嗅覚をテーマにした展示では、香りが文化的記憶を呼び起こす力を示す。広州にある香り博物館「雪蕾香氛博物館」は香りを「文化的遺産」と位置づけ、時代ごとの香りを提示する。ローカルブランドの線香会社「港香堂」は香港の名前の由来にもなる伝統的な線香や素材を展示し、来場者が直接香りを体験できる仕掛けを用意した。西貢に拠点を置く「BeCandle」は西貢の風土を反映したキャンドルを紹介し、地域文化とクラフトマンシップを結び付ける。
聴覚の分野では、「祥雲 Audio」が香港のデザインチーム「Reform」と協力し、往年のカセットプレーヤーを分解展示する。機構の美しさを見せつつ、音が記憶をつなぐ力を体感させる。
HKDCエグゼクティブ・ディレクターのレイニー・チャン(Rainy Chan)さんは「この展示は、香港デザインセンターが掲げる『世界をデザインでつなぐ』使命を体現するもの。同展を通して、香港と中国本土、特に大湾区のクリエーターを結び付ける拠点であり、来場者に新しい視点からデザインの可能性を体験していただきたい」と話す。
開館時間は11時~19時。火曜休館(祝日は開館)。10月25日まで。
●=土へんに歩。