見る・遊ぶ

中環に今夏も香港映画の没入型展示 名コンビの関係性に注目

大館の複式展室の縦空間を大胆に活用した展示

大館の複式展室の縦空間を大胆に活用した展示

 香港映画をテーマにした没入型展示 「拍住上-光影裡並肩馳騁的我們」(Duplex Studio, LG1/F & LG2/F, Block 01, Police Headquarters Block, Tai Kwun, 10 Hollywood Road, Central, Hong Kong)が6月23日、中環の歴史的文化施設「大館(Tai Kwun)」で始まった。昨年の香港映画に焦点を当てた夏の展示に続き、香港出身の映画監督サニー・チャン(Chan Wing San)さんがキュレーターを務め、会場は数々の香港映画の名シーンを再現した巨大な没入型(イマーシブ)空間になっている。

上下逆転した画廊

[広告]

 タイトルにある「拍住上」とは、「互いに肩をたたき合い、困難に立ち向かう」「バディ(相棒)と並んで前進する」という意味を持つ、連帯感や協働を表す熱血的な広東語表現として知られる。同時に、「拍」は「撮影する、たたく」を意味し、映画における最も大事なことの一つとして、「何があっても物語を映し出す」という映画製作者の信念を反映した。

 同展は全9幕で構成し、複製された劇中道具や視覚効果を駆使した没入型展示で来場者を映画の世界へと引き込む。併せて、香港のバディ映画を掘り下げ、時代ごとに変化してきた「チーム精神」と「映画精神」の変遷をひもといていく。

 展示のプロローグとなる第1幕「拍●(Partnership)」では導入として、香港映画でよく見るシチュエーションを紹介。小道具などを介して、香港映画における「バディ」の定義を深掘る。続く第2幕「天翻地覆(The World Turns Upside Down)」では「狼(おおかみ)たちの絆(縱横四海)」の象徴的な、天井からつり下げられたシャンデリアなどが上下逆転した画廊から名画を盗み出した略奪シーンが登場。第3幕「同室操戈(Conflicts from Within)」では、作品を超えた「悪漢探偵2(最佳拍●之大顯神通)」と「ジェネックス・コップ(特警新人類2)」で出現したロボット2体の戦闘シーンを通して、バディ同士が衝突を経験しながらも共通の敵に立ち向かっていく 信念を表現した。

 第4幕「金石之試(A Test of Trust)」では「皇帝密使(最佳拍●之女皇密令)」でうそ発見器が置かれたシーンを再現し、第5幕「歳月留痕(Traces of the Past)」では1965年の元祖「黒ばら」と、そのリスペクト作である1992年の 「黒薔薇(ばら)VS黒薔薇(92黒●瑰對黒●瑰)」の2作品を融合した黒薔薇の住所の再現を通して、バディ間の信頼が臨界点に立たされたと瓦解(がかい)したときのドラマチックな緊張感を表す。第6幕「同道而行(Sharing the Same Path)」の「名探偵ゴッド・アイ(盲探)」は非対称な関係であっても、義理だけでなく、互いの長所と短所を補い合うバディの重要さを提示。エリア内では製作チームの独占インタビュー映像も上映している。

 目玉となる第7幕「破而後立(Breaking to Rebuild)」は大館の複式展室の縦空間を生かし、香港映画の代名詞、ノワール作品の緊張感にフォーカスを当てる。劇中のスタントシーンを劇場風の没入型空間に転化し、「ポリス・ストーリー3(警察故事 III 超級警察)」でレンガ壁を突き抜けて低空飛行するヘリコプター、駆け抜けるバイク、山積みにされた金塊の麻薬資金を展示し、香港映画特有のアクションの迫力が体感できるようにした。同エリアは「破壊して後、新しいものを築く」を主軸に、香港ノワールの迫力あるアクションシーンを来場者に没入させる。第8幕「兼容並蓄(Embracing Difference)」では 「臨時強盗(臨時劫案)」での精巧な小道具やレプリカの数々を壁一面に展示し、最後の第9幕「生生不息(Life Goes On)」では「プロジェクトBB(寶貝計劃)」でバディの信頼が家族愛へと昇華していく物語を表す。白側(正義)のみならず、黒側(悪・裏社会)の関係性や絆にも注目した。

 キュレーターのチャンさんは「香港映画は、それぞれの時代の記録だけでなく、不可能を可能にする精神を体現、限られたリソースで世界をととどろかせる撮影手法は、まさに『拍住上』という香港のチーム精神」と話す。

 展示時間は11時~19時。入場料は、一般=30香港ドル、学生・60歳以上・障害者=20香港ドル、4歳以下無料。10月4日まで。

 ●=木へんに當、●=王へんに攵。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
ALL